精神科医が深読み。任天堂が「ゼルダの伝説」に込めたメッセージ

 

主役はゼルダでなくて…?

それはそうと、このゲームのタイトルは「ゼルダの伝説」で、このゼルダは、ヒロインの名前です。お姫様です。よくパッケージにも出てる主役の少年は「リンク」です。あれがゼルダだと思ってる人も多いかもしれませんが、あれはリンク。リンクがどれだけ頑張って伝説を残しても「ゼルダの伝説」ですから、切ない状況ですね。

「マリオ・ブラザーズ」が、「ピーチ・シスターズ」になってるようなものです。姉妹誰やねん。またはドラえもんの夏休み映画が、必ず「のび太の○○」とタイトルがついてるのにも近いかもしれません。ドラえもんがいくら活躍しても、のび太のおかげ。悲しい。ちなみに自分が夏休み映画のドラえもんだったら、必ず冒険に出木杉くんを連れていきます。たぶん上映10分くらいで全部解決する。

話がものすごくズレましたが、とにかくリンクくんが、ゼルダ姫のために頑張るゲームです。そして今回、設定として、「以前に最終ボスに滅ぼされた時代から、100年たった世界」という内容になります。

そしてリンクは100年のあいだ眠っており、当時の記憶がまったくありません。そのため少しずつ思い出しつつ、状況を把握していく…ということになります。これ、非常にウマイなぁ、と。リンク=プレイヤーで、「思い出す」ということを通じてプレイヤーが今の状況を理解していけるわけですから、リンクに感情移入しやすくなっています

より道と本道の関係性

そしてこの「思い出す」ためには、世界の中で特定の地点に立つ必要があり、それが全部で12コほどあります。この地点は「そこの風景写真」から推察する必要があり、「あ、西郷さんが見えるから上野公園だ」とか「いつも本日閉店って叫んでる人がいるから、アメ横のあのお店だ」など考えなくてはなりません。重ねて、台東区のせいで伝わりづらかったら申し訳ありません。何にせよ、色々と記憶を思い出していくわけですが、そこではゼルダ姫とリンクのドラマが描かれています。

非常に美しく素敵なやりとりもあるのですが、中には「ゼルダ姫が自分の力をうまく操ることができず、リンクに八つ当たりする」という切ない記憶もあり、ていうかその比重が結構多く、それでいてゼルダは「リンク助けて、早く最終ボス倒して」とプレッシャーを掛けてくるので、リンクとしては「あぁ…」と、本道を思い出して、軽く冷静になります。あ、ほこら探したり、コログの実を集めたり、ムダに敵を燃やして楽しんでる場合じゃないや、みたいな。

これある意味、休日のお父さんとかに通じるかもしれません

休みだから色々と遊んでると、上司から「明日のプレゼン資料、大丈夫?」と催促されたり、給与や出世の状況について奧さんにプレッシャーを掛けられてハッとするかのような。そんな状況を象徴しているのではないかと。ゲームでは普通にやれば最終ボスは必ず倒せますが、現実では上司も奥様も倒すのは至難の業なので、現実の方がよりハードかもしれません。

何にせよ、ゼルダの伝説、現実にも通じる非常に含蓄深いテーマも含み、素晴らしいゲームだと思いました。ゼルダも、もといリンクも頑張ってるんだから、僕たちも頑張らないと、みたいな。

人生のがんばりゲージが減るのと全力で戦いつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

image by: Jair Fonseca / Shutterstock.com

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【著者】 大和まや・ゆうきゆう 【発行周期】 週に1度、宝石が届きます。

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