桜を見る会また不祥事。公文書法違反を認めても逃げ回る安倍官邸

 

管理簿、廃棄簿になぜ記載しなかったのかを問われた菅官房長官は「内閣府に確認したら、事務的な記載漏れということでありました」と言う。法に違反していることは認めながらも、「事務的ミス」で済ませようとしているのだ。そんな単純ミスが毎年続く道理がない

招待者名簿は内閣府がまとめて招待状を発送するための名簿だが、それは各省庁や首相、官房長官、自民党などからの推薦者名簿をもとにしている。

各省庁には推薦者名簿が保存されているのに、安倍事務所からメールで送信された推薦者名簿は廃棄されているという。安倍事務所のメールを受け取るのは内閣官房(官邸)の内閣総務官室で、そこから内閣府の人事課に転送され、人事課が招待者名簿にまとめる仕組みだ。

すべての府省と部局のうち、内閣総務官室だけが推薦者名簿を「1年未満」文書として破棄していたことがわかっている。安倍事務所のものを含むからであろう。

むろんこれも招待者名簿と同様、電子データまでほんとうに廃棄しているかどうか、きわめて疑わしい。データを完全に消去したことを示すデジタル記録の提出を野党が求めても、いっさい応じようとしないからだ。

野党ヒアリングで追及の矢面に立つ内閣府の総務課長は「担当者の記憶が不鮮明で、よくわからない」と逃げまくる。誰が聞いても、ありえない回答だ。

真実を知るのは、招待者名簿とりまとめと発送の実務にあたった内閣府人事課である。それなのに、人事課の面々はオモテに出てこない。菅官房長官も、「担当したのは内閣府人事課に限られている」と言いながら、奥に引きこもらせたままだ。

野党の追及チームは、なんとしても内閣府人事課にアプローチしなければならないが、首尾よくいかない。吉岡秀弥内閣府人事課長は再三にわたるヒアリングへの出席要請に応じようとしないのだ。

そこで立憲民主党の黒岩宇洋衆院議員は、吉岡課長から集団によるヒアリングではなく個別のレクを受けたいと申し入れた。吉岡課長は了承したにもかかわらず、約束の日時になって、待てど暮らせど黒岩氏の部屋に姿を現さない。つまり、黒岩氏はすっぽかされたわけである。

黒岩氏は「課長に連絡するように言ってください。何時でもいいですよ」と人事課に申し入れたが、なしのつぶて。何度か人事課に電話で問い合わせても、出てくる答えは「課長はどこにいるかわからない」「課長の携帯番号はわからない」。

黒岩氏は「立法府からの要請だというのに、庁内かくれんぼどころか、神隠しのようなことをやっている。すさまじいですよね。通常のレクさえ受けられないんだから」と憤懣やるかたない様子だ。

公文書管理法は第1条で「公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ…国及び独立行政法人の諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする」とその理念を掲げている。

それに違反した責任は誰がとるのか。菅長官は「二度と繰り返さないよう内部で徹底したい」と毎度、おなじみの逃げ口上でかわそうとするが、それですむのだろうか。

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