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国民生活センターが「格安スマホ」に注意喚起――そもそもシニアに格安スマホを勧めるべきなのか

1月16日、国民生活センターが格安スマホに対する相談が増えていると発表。業界団体に対して、高齢者のユーザーに丁寧な説明をするようにと注意喚起したという。実際、2015年以降、60歳以上の高齢者ユーザーのクレームが増加傾向にあるとのことだ。「無料通話には専用のアプリを使う必要があることを知らなかったため、高額な請求を受けた」「使い方を問い合わせたいのに店舗でサポートが受けられない」などの苦情が国民生活センターに寄せられているというのだ。

そもそも、「なぜ、格安スマホは安いのか」という点を理解しないまま、安易に格安スマホを契約しようとしている状況がどうかしている。確かに、業界的にも、いまだにガラケーを使っているユーザーが多いため、シニア層の開拓というのは急務だ。さらに「3Gが停波する」という脅迫めいたメッセージが発せられ、「ケータイが使えなくなる」という誤解のもとに、ケータイからスマホへの乗り換えを促そうとしている業界も悪い。しかし、だからといって、シニアを格安スマホに導くのも無責任であるし、まともなサポートができないのであれば、シニアをターゲットにするのは間違っている。

もちろん、シニア側もサポートを必要としているのであれば、格安スマホを選ぶべきではない。まずは、3キャリアが提供しているシニア向けのスマホデビュープログラムからはじめて、スマホになれ、料金に不満を感じるようであれば、格安スマホに移行するのが現実的ではないか。

国民生活センターも、無責任に業界団体に「丁寧な説明を」と注意喚起するよりも、「初心者は格安スマホに手を出さない」というアピールをしてユーザーを守るほうが賢明ではないか。ただでさえ、経営的に苦しい格安スマホに対して、これ以上、サポート体制を強化させるというのはあまりに無理があると思う。

格安スマホに対しては、ネットワーク品質もサポートも割り切って使うからこそ、安価で満足できるものだといえる。ネットワーク品質も最高でサポートも申し分のない体制を選ぶのであれば、そこには出費も伴う。素直にキャリアを契約したほうが無難だろう。

一方、キャリア側も、高い通信料金であっても、満足して使ってもらうには、きちんとしたサポート体制が不可欠だろう。航空業界においても、多少、不便であっても節約したい人向けのLCCがある一方、快適な空の旅をしたいとフルキャリア・サービスのANAやJALを選ぶ人もいる。

自主的にサポート体制を強化する格安スマホが出てくることは歓迎だが、国民生活センターが頭ごなしに業界団体に対して、すべての格安スマホがサポート体制を強化しろと注意喚起するのは無理がある。もっと「格安スマホがなぜ安いのか」をユーザーに理解させることが重要だろう。

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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