【書評】戦争論専門家が本場所中に女子高生の日を提案する理由

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今の若い人たちは知らないかもしれない単語、「トンチンカン」。辻褄が合わない、間抜けといった意味の言葉ですが、現代日本のトンチンカンたちを容赦なくぶった斬る書籍を紹介しているのは、無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長、柴田忠男さん。プロローグからスロットル全開、「直言、辛言、暴言」飛び交う一冊です。

偏屈BOOK案内:北岡俊明『日本トンチンカン悪者列伝』

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北岡俊明 著/ワック

トンチンカンとは久しぶりに聞く言葉だ。辻褄が合わない、ちぐはぐ、間抜けといった意味で、若い頃に仲間内で用いていた記憶がある。プロローグの日本相撲協会への提案「女子高生の日」が笑える。土俵の砂かぶりは異常に値段が高く、年寄りや金持ちのずばり特権階級の専用席だ。もともと相撲協会は内向き志向、金持ち志向、利権・特権志向の、未来を考える頭脳が弱い組織だ。

土俵の周りを花も恥じらう女子高生が、十重二十重にかこんだらどうなるか!すなわち、本場所中に「女子高生の日」を設けて、土俵の周囲を女子高生であふれさせるのだ。力士たちは猛ハッスルして、どの取組もガチンコの大熱戦になる。テレビ桟敷だって、砂かぶり席は中高年より女子高生を見るほうが嬉しい。結果として、相撲人気が大いに盛り上がる。素晴らしい珍アイデア。

観戦する女子高生は全国からの応募、抽選で決める。砂かぶり席を中心に升席も解放する。年に一回くらいは国技館全体を女子高生オンリーにする。この日、力士と親方、行司ら土俵周り以外は男子禁制である。さらに、女子高生はセーラー服に限る。さらに、女子大生の日、看護婦さんの日、宝塚歌劇団の日などを設けてマーケットを拡大する。たまには昔の娘「ばあさんの日」も設ける。

女子高生の日はケインズ経済学でいうところの相乗効果を生み、彼女らを見に男が集まる。若い男が集まると若い女も集まる。そうするとカップルが誕生し結婚し子供が生まれ少子化がストップし人口が増え有効需要が増えGDPが増大し経済が成長しめでたしめでたし……ンなわけないだろう。つかみがウマイ。

著者は「戦争論・戦略論」「ディベート論」の専門家。そんな学者さんなのに悪口好きで、前作は『日本アホバカ勘違い列伝』だった。白鵬よ、早く辞めろと厳しく書く。これほどトンチンカンな男は空前絶後だ。横綱は長く務めることが良いのではない。後進に道を譲ることが宿命であり使命なのだ。少しでも横綱にふさわしくない相撲を取った時、即、引退するのが横綱なのである。

白鵬は42回も優勝しているのに、全く尊敬されていない。優勝すればするほど嫌われる。人徳がないからだ。力士が備えるべき徳目は、忠節、礼儀、信義、寡黙、武勇(勇気)、清貧であるが、これらが決定的に欠落しているばかりか、傲慢無礼、下品、出しゃばり、饒舌である。著者は白鵬の問題行動をあげつらう。伝統破りのモンゴル会の親分であり、日馬富士の暴行事件の黒幕だった。

取組が終わったあと、勝負に文句をつけて退場しなかった。張り手とかち上げを多用するが、横綱が絶対にやってはならない手である。横綱土俵入りはあまりに醜く不格好だ。観客に三本締めを促した。優勝インタビューの締めくくりで万歳三唱を行い厳重注意を受けた。白鵬は完全に日本の相撲文化を舐めている。だれか白鵬に晩節を汚すなと引導を渡すべきである。不甲斐ない相撲界。

陸上競技などで、人差し指を突き上げて勝利を主張するバカが醜い。他のチームや選手に対するリスペクトに欠け、スポーツマンシップとはほど遠い。日本には世界に誇るオンリーワンの文化、武士道精神がある。プロ野球も、学生野球も、ほかのすべてのスポーツで前面に出してもらいたい。この本は殆ど首肯できる内容だが、ガンコで偏った年寄りぶりは読者を選ぶでしょう。

編集長 柴田忠男

image by: Irene M M / Shutterstock.com

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