しかし辛格浩の時代は2015年7月、長男の辛東主(シン・ドンジュ)元ロッテホールディングス副会長と次男の辛東彬(シン・ドンビン)ロッテグループ会長が経営権紛争を繰り広げることから傾き始める。この過程で辛名誉会長は経営の一線から退くことになる。2017年には、ロッテ建設やロッテジャイアンツ、日本ロッテホールディングス、ロッテアルミなどの取締役から退き、韓日ロッテの経営から完全に退くことになる。日本で70年、韓国で50年間続いた「辛格浩時代」にピリオドが打たれたわけである。
辛名誉会長は昨年6月、裁判所の決定によって居所をソウル蚕室(チャムシル)にあるロッテワールドタワーから小公洞(ソゴンドン)に移した。以後健康が悪化し入退院を繰り返しながら、1月19日午後、98年の長きにわたる人生行路にピリオドを打った。合掌。
韓国を代表する偉大な経営者である。一代でこれだけの事業を展開するっていうのは、誰にもできるワザではない。運と才能が錬金術のように昇華するとき、こういう奇跡が生まれるのであろう。去年のボイコット・ジャパン(日本製品不買運動)のときには、日本系の会社だということで散々の目に遭っている。今もその影響がゼロとはいえないようであるけれども、生粋の韓国人の作った会社なのだから、ボイコットだのなんだのと言うのはほどほどにしてほしいところだ。いいものはいいと、素直に認めてあげたらいいのに。そう思う。
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