武漢に残ることにした僑民も積極的に彼らを助けてくれたという。チャーター機搭乗のため慌てて出てきたため居場所のない僑民に、寝るところや食べ物を提供し、個人車両を使って僑民を天河空港まで運んでいく。現在武漢では許可をもらっていない車両は通行が禁止されており、許可された車両がなければ荷物を持って歩いて移動しなければならない状況。
湖北省韓国人会長のチェ・ドクギ氏は連合ニュースとのインタビューで「飛行機なら飛んでしまえばそれまでだけれど、通行止めになっている地上の道を開けて通過するのが難しかった」とし「一本のドラマのようだった」と話した。特に、「僑民撤収業務の実務責任を負う鄭領事が、責任感をもって任務を全うしてくれた」と賞賛を惜しまない。彼は「鄭領事が業務に熱心な姿を見て、この人は魂をかけて仕事をしている人だと感じた」とし「心の置く深き所で責任感と使命感を持って働く人」と語った。鄭領事は警察官として韓国内で務めたあと、武漢総領事館にきて僑民保護担当領事として3年間働いてきている。
きのうの2月1日まで、武漢在住の韓国人701人がチャーター機で韓国に帰ってきた。簡単に飛行機に乗って帰ってきているようにわれわれにはみえたのだけれど、実はいくつもの難題をクリアーして実現できたことだったのだ。上にもあるように遠くに住んでいる僑民を飛行場まで来させるのがものすごいハードルだったようだ。武漢の人々の進入を阻止するとして「自警団」を組織し地域道路のあちこちに様々なバリケードを設置。そこにいちいちお願いに行って通してもらうという、考えただけで頭が痛くなるような業務をやってのけたわけである。現地韓国人の撤収作業を全面的にバックアップしたのが上の主人公鄭ダウンという38歳の領事だ。第二便のチャーター機の離陸を見届けて帰宅する車の中で号泣したという話。任務を果たしたという安堵や、家族は送ったものの自分はここに残らねばならないという家族に対する済まなさ、そういったいろいろのものが込み上げての大量の涙だったのだろう。
でも、本人はそんなことは思っていないと思うけど、こういう「英雄」がいてくれてはじめて、物事は成就するんだろうなと今回のこの記事をみてまた新たに感じた。人間って、すばらしいもんだ。
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