ビジネス書やセミナーで学んだ後は、まだ何もしていないのになんとなく自分がレベルアップしたように感じるものです。しかし、学んだ事、それによって知識を得た事は事実ではあります。この「学び」を日々の仕事に活用出来ないものでしょうか。今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で人気コンサルタントの中久保浩平さんが、その方法を記しています。
目から鱗が落ちましたと言っているうちはダメ
勉強熱心な経営者は本当に多いです。多いのですが、「学び」により知識を吸収するだけで満足してしまっている人が多いのも事実です。
以前、とある中小企業の社長さんが「今、この本を読んで勉強しているんですよ」と、得意気に某有名コンサルタントの本をカバンからゴソゴソと取り出して見せてくれました。なので、素朴な疑問として尋ねてみました。「で、その本を読んで、実際に何か役立ちましたか?あるいは、どこか役立つようなところはありますか?」と。すると、「いやっ、まだ読んでる最中なんで…でも、きっと役立つと思います」と応えてくれました。
「ん?きっと役立つと思う??」
この返答に違和感がありました。具体的にどう役立てるのか?というものが一切なかったらです。この瞬間、恐らく彼はこの本を読み終わると「それだけで満足して終わりだろうなぁ~。家の本棚には一回読んだだけのビジネス本が綺麗に並べられているんだろうなぁ~」って思いました。
確かにビジネスや仕事、商売では、「知らないことが恐いこと」ってのはありますし、情報や知識が多いに越したことはありません。ですが、知らない知識や情報を得た事実、というだけで満足してしまっていては、いつまで経っても身にならないものです。
知った知識を理解するには、実践するしかありません。理解を深め、身にするには、実践するしかありません。
自慢出来るような話じゃないですが、私はかつてお見合いパーティーを運営していた時、身を持って広告について勉強することができました。何百万もの身銭を切り、広告費に突っ込む。しかし、悲しいかなお客さんは一向に集まらない。そして、広告に関するノウハウ本を読み漁り実際に試す。それでもお客さんは集まらない。広告を頼んだ代理店と何度も打ち合わせをする。それでもお客さんは集まらない。これの繰り返しでした。
このような失敗は「痛み」という感覚を体感する事ができます。1度痛みを味わうと、そこで知り得たことや学んだことは忘れませんし、必ず次のステップで役に立っていきます。こうしたのが生きた勉強です。
知りえた知識を頭の中だけで理解しようとしても理解は深まりませんし、血肉にもなりません。たとえば、Microsoft officeのスキルを高めようとして、「たった1日であなたもofficeマスター!」というような本を読んだだけで、スキルは伸びませんよね。本を読み、実際に実践してみないことには。そういうことです。
多くの人は、現在抱えている悩みや問題を解決するために本を読み、セミナーや講演会などに通い、そこで悩みや問題に対する答えを探すのが目的になってしまっているのです。答えを探すことが、勉強になってしまっているのです。
ビジネスや仕事、商売に必要な勉強とは、答え探しのためにあるものではありません。「お客様が集まらない!」と悩む経営者が「集客アップの方法」などといような本やセミナーなんかで、その手法を手取り足取り教えてもらい、「目からウロコが落ちました~」なんて感想を述べる。こういうのは、学びとは言いません。
生きた学び、勉強をしようと思ったら、知り得た知識、情報、学んだことを実際に実践することです。でも実践すると「痛み」を伴なうこともあるでしょう。そうした痛みを存分に感じることです。それでも繰り返し実践することです。こういった中でこそ、思考・判断・行動力が磨かれ、真の学びとなり、身になっていくのです。
そう考えると、なにも本を読んだり、セミナーに通ったりするだけでなく、毎日の仕事の中、生活の中でも十分に生きた学び、勉強ができると思います。
■今日のまとめ
「仕事、ビジネス、商売では生きた勉強をする」
- 本棚に埋もれている本を1冊取り出し、そこから学んだことはどんなことか?書き出す
- 書き出しことが身になっているか?チェックする
- 身になっていない場合、どうすれば身になるか?考えて即行動する
- 書き出したことに対して自分は行動力があるかどうか判断する
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