新型肺炎を巡っては、すべてが後手に回っている感のある日本に対して、お隣の韓国では徹底的とも言える検査体制を敷き、罹患者の足跡もマップで公開されるなどその対応には差があるようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴31年の日本人著者が、新型肺炎罹患者を徹底的に洗い出し、感染拡大阻止に立ち向かう韓国の現状を伝えています。
新型コロナで「サンミルチョル」報道はほぼ聞かれず
韓国の3月1日は「サンミルチョル」といって1919年の3月1日に日本からの独立を叫ぶ全国民運動を記念する重要な日である。が、今年は新型コロナのせいでテレビのニュース画面は1日中新型コロナで持ち切りだ。「サンミルチョル」に関する報道はほとんど聞かれない。筆者が韓国へきて30年を越えたけれど、こういう3月1日ははじめてのこと。日本人としては心休まる3月1日となった。
その新型コロナ、3月1日午前10時基準で韓国は、確定者3,526人、死亡17人、退院(治癒)30人となっている。中国は確定者7万9,968人、死亡2,873人となっている。震源地中国はやはり桁が違う。日本では北海道などの一部の地域で検査したいのだけれど検査できない「検査難民」などというニュースもみられるようだ。安倍政権が積極的に検査を行わない“感染者隠し”の疑いが浮上しているという話もある。その点、韓国は隠蔽したり検査をわざとやらないという卑劣なやりかたはしていない。
筆者の住む天安(チョナン)市は、ソウルから南に約80キロくらいの中堅都市である。ここで数日前、ジュンバダンスのダンススタジオでコロナ感染者が発生した。ダンスの講師が感染者だったため、次から次へと伝染し、今3月1日現在62人の感染者がいる。死亡者はいまのところまだいないようだ。
感染者の動線が一目でわかるアプリがあって、彼らが立ち寄った喫茶店やマートや食堂などがどこにあるかが一目瞭然だ。そういった店は即消毒作業にはいり、店は閉店となる。何日間閉店措置しなければならないのかはわからないけど、店の経営者にとってはとんだ災難になるわけだ。客が感染していたというだけで店を閉めなければならないのだから。でも、それくらい厳しく対処しているということでもあり、近くの住民からすればそういう点ではかなり安心できるというものである。
ただ、きのうテレビに出ているパネリストの医者が、「消毒してコロナウィルスはいなくなっているので、お客さんはそこへ行っても大丈夫ですよ」と言っていたが、そんな医者の話を100%真に受けて店に行く人はほとんどいないと思われる。
韓国の確定者が3,526人と中国に次いで多い。これはキムチパワー262号「全韓国が憎悪に近い非難。新型肺炎を蔓延させた新天地教会とは」でお伝えしたように、大邱(テグ)の新天地教会の信徒らによる影響が大だ。新天地教会の信者の全数調査にはいってきょうで3、4日になるはずだが、だいたい80%ほど(21万人)の調査が終わっているらしい。まだ少しのこっているのであす、あさってあたりまでは確定者の数は増える見込みだ。新天地教会の信者の調査が終わってしまえば、韓国での確定者の数はそれほど増加しないものとみられている。
韓国では、コロナ対策として免疫力をあげるという観点から、ある種のきのこや、高麗人参などが爆発的な売れ行きを示している。高麗人参は、これを蒸して乾燥させた「ホンサム」(紅人参)が人気だ。これのエキスやちょっと飲みやすくした栄養ドリンクみたいなスティックタイプのものも人気だ。さらに味噌やニンニクなども免疫力を上げる食品として注目されている。
韓国の中では、上述の大邱が最大の危険地帯となったが、ソウルや釜山もそれに次いで危険地帯だ。そしてその次がわが天安(チョナン)。きょうは追加の感染者がいないからなのかどうかわからないけど、きのうは、1時間に1、2回の割合で「追加の感染者が1人」とか「2人追加」などの文字メールが来ていた。さらに感染者の動線がわかるファイルがついていたり。文字メールがつくと、地震などの自然災害が発生したときのような特殊な音が鳴るので、きのうは1日中落ち着かない時間を過ごすことになった。きょうは増加がないのか日曜日からなのか、ドキッとするあの着信音がならない。平和な日曜日を過ごしている。
生後45日の赤ちゃんが感染したというニュースがあって、ちょっと心が痛い。この子の親も二人とも感染者だという。高齢者はかなり危険だけれど、若い夫婦の場合は今のところは症状がほとんどないという。45日の赤ちゃんといっしょに快癒してほしいところだ。
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