台湾との差が歴然。新型肺炎でも馬脚をあらわした後手の安倍政権

 

何より大事なのは透明性ある情報公開

第2に、情報公開の徹底が民心を静める上で極めて重要であることを理解していることである。それは、上述ファンが言う「公衆衛生は国民の政府への信頼がなければ成り立たない」という公理をよく弁えているからだろう。

こうでなくてはいけないよねと思わされるのは、1月8日の段階で「すべての国際線と中国・福建省側との船舶の往来」について警戒レベルを上げる決定を打ち出すについて「12/31~01/08の武漢地区からの帰国便=13便、帰国者の検査人数=1,193人、08日までの感染者=0」というクリアな発表の仕方をしていることである。帰国者の検査だけでなくその家族や周辺をもフォローしているのは当然だし、検疫官はじめ受入側スタッフにも1人の感染者も出していないので、これを聞けば国民は安心する。日本の場合は、航空機もクルーズ船も基準がなく、乗客だけでなく厚労省職員も医療関係者も乗員も汚染されてしまった。このデタラメさが国民の不安をかき立てるのである。

この結果、2月下旬に発表された世論調査で、蔡英文総統の支持率が前月より11.8ポイントも上がって68.5%に達した。安倍首相はそれでなくとも下落傾向だった支持率が、このドタバタで急落するのは目に見えていて、それで小賢しく足掻けば足掻くほどコーナーに追い詰められていく。もはや永田町内の政治記者の関心は「五輪中止で安倍退陣か」というタイミングが5月連休の前に来るのか後に来るのかという見極めに移っているようである。

image by: 首相官邸

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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