KDDIとソフトバンクが5Gの地方展開を実現する「5G JAPAN」を設立――NTTドコモと楽天は、どうするつもりなのか
ソフトバンクとKDDIは、5Gの地方展開を加速させるための合弁会社「5G JAPAN」を4月1日付で設立したと明らかにした。両社が保有する基地局資産を相互利用するインフラシェアリングを行っていくという。
ソフトバンクとKDDIの取り組みは、2019年7月の合意を持って動き出した。当時、NTTドコモの5G関係者に「NTTドコモは、この2社から距離を置くのか」という質問をしたことがあったのだが「参加するかどうか検討している最中であり、答えが出るのはもう少し時間がかかりそう」という回答であった。てっきり3社で合意するのかと思いきや、NTTドコモは自社並びにNTTグループで地方展開を進めていくのかもしれない。
ソフトバンクとKDDIは、4Gの周波数帯でも5Gのスマホを扱える「DSS(ダイナミック・スペクトラム・シェアリング」の導入に前向きである一方、NTTドコモは、まずは5G向けに割り当てられた周波数帯を活用するという考え方の違いもある。5Gのネットワーク構築については「NTTドコモ」と「ソフトバンク・KDDI」で真っ二つに割れたと言っても良いだろう。
ソフトバンクとKDDIのインフラシェアリングは、実に両社にとってメリットの大きい話だ。「両社が保有する基地局資産を相互利用する」ということなので、全く同じ数、お互いがすでに持っている基地局資産を融通しあえば、一方の会社からの持ち出しは限りなくゼロにできる。2社で全国の地方を展開する際、文字通り約半分の負担で済むことになる。
仮にこの座組みに、楽天モバイルが入ったとしよう。楽天モバイルは、地方にはほとんど基地局資産を持っていない。楽天モバイルが地方の基地局を使いたいと思えば、すでに所有しているKDDIもしくはソフトバンクの基地局資産を間借りしなくていけない。つまり、そこで賃料や使用料が発生するというわけだ。KDDIとソフトバンクは基地局資産を生かして儲けることができるが、楽天モバイルはお金が出る一方となる。
楽天モバイルが負担ゼロで、他の2社と対等にこの座組みに参加するには、KDDIやソフトバンクと同規模の地方インフラネットワークを整備してからのことになる。楽天モバイルとしては5Gに勝機を見出そうとしているが、地方展開においても、まずは自分たちでコツコツとネットワークを構築するところから始める必要がありそうだ。
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