コロナ後の経済成長とデフレ解消に国内生産の再構築が必要なワケ

 

こんな不安定な状況でビジネスを継続することはできません。最早、コストだけの問題ではなく、ビジネスの存続の問題なのです。おそらく、日本企業は中国生産集中から、ASEAN諸国に生産機能を分散することになるでしょう。しかし、それでデフレが解消するわけでもないし、日本が経済成長するわけでもありません。

といっても、国内生産回帰は困難です。生産を戻そうにも工場がありません。もし、政府が強力に国内製造業の再構築を考え、本気で国内生産を増やすならば、新たな工場を新設することになります。企業単位で考えれば、工場の新設という選択肢は出てこないでしょう。中国製品との価格競争に勝てないし、結局、採算割れになるからです。

3.国内生産再構築が成長戦略

しかし、国として取り組むのなら話は別です。国が国内生産の再構築を政策として掲げ、工場を新設すれば、大きな設備投資需要が生まれます。国内総生産も上がります。デフレも止まるでしょう。そこで、国内生産再構築を日本の経済成長戦略として提唱したいと思います。

具体的な方法は、改革開放当時の中国政府がお手本になります。新規工場建設及び設備投資に対する優遇政策です。例えば、不動産取得税、固定資産税等を免除する。期限付きで法人税も減免する。

日本政府が海外工場を日本国内に戻すための補助を行わずに、市場原理に任せておけば、国内に工場が戻ることはないでしょう。しかし、それでは安心安全な国民生活を維持することができません。

そして、公共事業として、政府、国家公務員、地方公務員等の制服を設定し、国内生産に限定します。これにより、公的な需要が生まれ、国内工場の安定的な生産が保障されます。もちろん、国内生産の条件のもと、厳正な競争入札を行うことが求められます。また、百貨店、量販店、大型専門店、大手ネットショップ等では、国内製品を一定比率取り扱うことを義務化することを法制化して欲しいと思います。

これらは経済問題ではなく、安全保障問題です。国民生活の安全保障のために、国内に最低限の生産機能を維持するために必要なことであれば、国民にも納得してもらえるでしょう。

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