在米作家が大胆提言。9月入学をやるなら「2年半で卒業」を目指せ

 

ここへ来て左派を取り込んだバイデン、どうなる大統領選?

ここへ来て、トランプのコロナ政策は更に迷走を強めています。トランプ自身の姿勢に関して言えば、2月の時点では「コロナはフェイク」「民主党の陰謀」「数日で消えるかも」「結局はインフルと同じ」だという楽観論を煽っていました。また「検査はファンタスティック」「検査増やせば万事解決」などと言っていた時期もあったのです。

それが、3月中旬になってニューヨークなどを中心にコロナが拡大していくと、割と大人しくなり、専門家チームの言うことを真面目に繰り返したりしていたのでした。ところが、4月の下旬からは我慢ができなくなって「経済を開けろ」ということを言い始め、それでも最初は公式の場では真面目、アナーキーなメッセージはツイートだけという感じだったのが、5月に入ると「ロックダウン反対デモ」との連動をかなり大っぴらにやっている感じです。

その「ロックダウン反対デモ」では、民主党系の知事や、ホワイトハウスの専門家チームのファウチ博士などへ殺害予告をしたり、ナチスや南部連邦の旗を振り回したり、どんどん悪質な感じになっています。

そんな中で、まるで右派の挑発に乗るかのように、民主党のバイデン候補は「もっと真剣にファウチ博士の意見に耳を傾けるように」などと、まるで中西部の保守派をバカ呼ばわりして、上から目線で説教しようという感じになっていたわけです。これでは戦術として上手くいくはずはありません。

とにかく、現在77歳で、この11月の選挙で当選したらすぐに78歳になるバイデン候補は、どう考えても「コロナ危機の時代の大統領」としては相応しくないのですが、とにかく民主党としては、簡単に彼を下ろすわけには行きません。少なくとも、3月までのプロセスで予備選を勝ち抜いてきたという事実は重たいものがあるからです。

そんな中で、例えばここ数週間は、タラ・リードという90年代にバイデン上院議員の事務所に勤務していた女性による性的暴力スキャンダルが「くすぶって」いました。ただ、このリードという女性に関しては、TV地上波のまともなインタビューは実現せず、ネット配信されたインタビューは「そこそこの信ぴょう性」はあったものの、本人の発言が一貫しない中で、現時点では相当に「薄い灰色」の疑惑という格好になっています。

この「スキャンダル」ですが、時期が9月とか10月上旬であれば仕掛け人は共和党サイドということになるわけですが、こんな早い時期に飛び出したということは、背後にあるモメンタムとしては「もっと別の候補にスイッチすべき」という民主党内の思惑があったと考えられます。

その党内の思惑ですが、ここへ来て不思議な雰囲気が出てきています。3つの流れがあります。

1つはようやく「挙党態勢」に近い感じが出てきたということです。特に、長い間ずっと態度を保留してきたエリザベス・ウォーレンがバイデン支持を表明したばかりか、党内最左派のアレクサンドリア・オカシオコルテス(AOC)議員が、「バイデン派の環境問題タスクフォース」の「共同委員長」に就任したというニュースには驚きました。

この「共同委員長」というのは、AOCともう一人がジョン・ケリーです。勿論、トランプと喧嘩別れした主席補佐官ではなく、2004年にブッシュに挑んで負けた大統領候補で、後に国務長官もやった大物のケリーです。AOCがケリーと同格というのも面白いですが、AOCをバイデンが取り込んだとも言えるし、反対にAOCがバイデン派に潜り込んだとも言えるし、政治的には興味深い動きです。

しかし、コロナ危機の真っ最中に「環境」を軸にするというのは、共和党との正面衝突モードになると同時に、コロナ危機を口実に環境では妥協しない、化石エネルギーの価格低迷もいいじゃないか、それで経済が凹む分は、全部公的資金突っ込んでケインズ政策+バーナンキ流で突き進むという方針というわけです。

何をやりたいのか、チンプンカンプンであった時期が長いだけに、良くも悪くも政策が出てきたというのは、悪いことではありません。ですが、これまた良くも悪くも「第三の道」的な民主党政治家であった中道のバイデンが、AOCのような毒薬を使いこなせるわけはないとも言えます。挙党態勢とは言いながら、AOCというのは、中に入れたら暴れだすコマであるわけで、決して安定はしないと見ているのですが、どうでしょうか?

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