米が中国の人権弾圧を問うため切った「チベット」カードの破壊力

 

パンチェン・ラマはどこに?

中国はパンチェン・ラマの居場所を「直ちに」公表せよ、米国務長官

5/19(火)9:19配信

 

【AFP=時事】マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は18日、25年前にチベット仏教第2の高位者パンチェン・ラマ(Panchen Lama)に認定され、その後まもなく拘束された男性の居場所を「直ちに」公表するよう中国に要求した。チベット亡命政府も17日、パンチェン・ラマの「健康状態と居場所」を公表するよう中国に求めていた。

これ、普通の人は、意味がよくわかりません。どういうことなのでしょうか?

世界的な支持を得ているノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者で、亡命中のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世は1995年5月14日、当時6歳だったゲンドゥン・チューキ・ニマ(Gedhun Choekyi Nyima)氏をパンチェン・ラマの生まれ変わりと認定した。
(同上)

パンチェン・ラマは、チベット仏教では、ダライ・ラマに次ぐ地位にあります。ダライ・ラマ同様、「転生している」とされます。ダライ・ラマは1995年、ゲンドゥン・チューキ・ニマを「パンチェン・ラマの生まれ変わり」と認定しました。しかし、中国政府は、6歳のこの少年をパンチェン・ラマと認めず、捕まえてしまったのです。

パンチェン・ラマはその3日後に拘束され、以来、一度も姿が確認されていない。人権団体はパンチェン・ラマが「世界最年少の政治犯」になったとして、中国政府を非難した。
(同上)

さらに中国政府は、ギェンツェン・ノルブという人物を、勝手に「パンチェン・ラマである」と決めてしまった。つまり、今世界には、二人パンチェン・ラマがいる。ダライ・ラマ公認のパンチェン・ラマ。(中国政府が拘束している。)中国政府公認のパンチェン・ラマ。

ポンペオ氏は、「チベット仏教徒は、他のあらゆる宗教団体の信徒らと同様、政府に干渉されることなくその伝統に従って宗教的指導者を選出、教育、崇拝できなければならない」「パンチェン・ラマの居場所を直ちに公表するよう中華人民共和国政府に求める」と述べた。
(同上)

当然の要求ですね。

日本は、2次大戦の過ちを繰り返すな

日本は第2次大戦時、致命的なミスを犯しました。1939年、第2次大戦がはじまった時、日本はナチスドイツの同盟国ではありませんでした。ところが、1940年、正式な軍事同盟国になった。日本は、ナチスドイツが、「ユダヤ人を大量虐殺していること」は、全然気にしなかったのですね。

第2次大戦開始から79年後の2018年、今度は「米中覇権戦争」がはじまりました。日本がドイツの軍事同盟国になってから79年後の2019年、安倍総理は、習近平を国賓として日本に招待しました。チベットの民を120万人虐殺した国。今もウイグル人100万人を強制収容している国。「武漢に新型コロナウイルスを持ち込んだのは米軍だ!」とトンデモフェイク情報を、外務省報道官が世界に宣言する国。

こんな国のトップを天皇陛下に会わせて、一体何がしたいのでしょうか?「日本は、現代のナチスドイツ、中国の味方だぜ!」と世界に宣言したいのでしょうか?

人は誰でもミスを犯します。しかし、賢明な人は、過去の失敗から学び、同じ間違いは繰り返しません。日本は80年前、ユダヤ人を大虐殺しているナチスドイツの同盟国になり、大失敗しました。

ウイグル人を100万人強制収容している中国は、「現代のナチスドイツ」と呼ばれています。同じ間違いを繰り返さないでください。安倍総理、「現代の近衛文麿」にならないでください。「近衛文麿の間違いから学ぶ人」であってください。

image by: Chris Redan / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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