米が中国の人権弾圧を問うため切った「チベット」カードの破壊力

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お互い譲歩する気配は見られず、ますます激化する一方の米中覇権戦争。ここに来てついにトランプ政権は、「チベットカード」という切り札をぶつけてきました。ウイグル問題と並び、中国の人権・宗教に対する姿勢が問われるチベット問題を突きつけられた習近平政権に「勝ち目」はあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、チベット問題について改めて説明するとともに、今、日本が中国に接近することがどれだけ危険か、歴史を紐解きつつ解説しています。

アメリカ、ついに【チベットカード】を切る

アメリカが、ついに【チベットカード】を切りました。

米中覇権戦争

世界では今、何が起こっているのでしょうか?そう、「米中覇権戦争」が起こっているのです。

米中覇権戦争の前哨戦がはじまったのは、2015年です。この年の3月、「AIIB事件」が起こった。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、オーストラリア、イスラエル、韓国など、いわゆる「親米諸国群」が、中国主導AIIBへの参加を表明した。これらの国々は、「入るなよ!」というアメリカの要求を完無視したのです。世界はこの時、「親米諸国ですら、アメリカではなく中国のいうことを聞く。アメリカの覇権は終わった。これからは中国の時代だ!」と考えた。

アメリカのリベンジがはじまりました。突如、「南シナ海埋め立て」が大騒ぎされるようになった。2016年、反中のトランプさんが大統領選で勝利しました。2017年、トランプさん、大統領に就任。彼は反中ですが、米中関係はこの年、穏やかでした。この年、金正恩が狂ったように、核実験、ミサイル実験を繰り返していた。それで、トランプは、北朝鮮貿易の9割を占める中国の助けを必要としていた。

しかし、2018年になると、中国は「北核問題を解決する気が全然ない」ことがわかってきました。そこで、トランプは、金との直接交渉に乗り出します。2018年6月、米朝首脳会談が行われました。中国のサポートが不必要になったトランプは、遠慮なく国を叩くことにします。

2018年7月、8月、9月、トランプは連続で中国製品の関税を引き上げました。そして、2018年10月4日、ペンス大統領がハドソン研究所で、中国との【冷戦開始】を宣言した。こうして、オフィシャルに、「米中覇権戦争」がはじまったのです。

米中覇権戦争の形態

米中戦争とはいっても、両国は「核大国」。大規模な戦闘は、なかなか起こりにくい。それで、戦争は他の形態をとっています。

情報戦、外交戦、経済戦、代理戦争。外交戦とは、味方を増やし、敵国を孤立させること。経済戦。たとえば、関税引き上げ戦争。ファーウェイバッシング。代理戦争。たとえば、アメリカは、香港の民主化勢力を支援する。あるいは、台湾への武器売却を激増させる。台湾が、WHOに参加できるよう、運動を盛り上げていく。情報戦。これは、「敵国を悪魔化させること」を目的とします。突如、「中国は、ウイグル人100万人を強制収容している」という事実が注目されるようになりました。

国連、中国政府がウイグル人100万人拘束と批判

BBC NEWS JAPAN 2018年09月11日

 

中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル人を約100万人、テロ取り締まりを「口実」に拘束していると、国連は懸念を強めている。国連人種差別撤廃委員会は8月末、最大100万人のウイグル人住民が刑事手続きのないまま、「再教育」を目的とした強制収容所に入れられているという指摘を報告した。8月半ばにスイス・ジュネーブで開かれた同委員会の会合では、信頼できる報告をもとに中国政府が「ウイグル自治区を、大規模な収容キャンプのようにしてしまった」と委員たちが批判。

もう一つのネタは、新型コロナウイルスです。「中国政府が新型コロナウイルスの真実を隠蔽したせいでパンデミックが起こった!賠償金払え!」と。さらにアメリカは、【チベットカード】を出してきました。

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