加えて、インドネシアでは国民の9割がイスラム教であり、経済を支配する華僑への憎悪に加えて、中国のウイグル人弾圧に対する怒りも高まっており、2019年12月末には、中国のウイグル政策に抗議するデモも行われています。
今年5月には、中国漁船で操業中に亡くなったインドネシア人船員の遺体が、海に投げ入られたという報道もありました。船長によれば、感染症にかかっていたため、他の船員の合意のもとで海葬にしたということですが、これに対してインドネシアの外相は国際労働機関の基準に合うかどうかの確認を求めて懸念を示したそうで、インドネシアの中国嫌悪がさらに高まりそうです。
インドネシアでは、新型コロナウイルスの感染者もいまだ増加しており、2020年6月10日現在で、感染者は3万3,076人、死者1,923人と、アジアでも中国を除いて最大の感染者、死者数となっています。
しかし、2月末時点では「感染者ゼロ」ということで、厳しい対策をとっていませんでした。そのために春節以降も中国人が大量に入り込んでいました。インドネシアが一部の例外を除いてすべての外国人の入国を禁じたのは4月2日でした。政府の遅い対応に国内では批判が上がっています。
とくにインドネシアには中国系企業が多いため、中国人の出入りが多く、そのことが感染拡大を招いた可能性も囁かれています。2019年のインドネシアへの海外直接投資は、1位がこれまで通りのシンガポールですが、2位は日本を抜いて中国となり、日本は第3位です。2019年の中国のインドネシアへの投資は過去最高になったということです。
● インドネシア:中国、日本抜き2位 昨年海外直接投資 目標は達成
すでにインドネシアでは外国人労働者の入国禁止措置をとっていますが、5月中旬には中国系企業が人材不足を補うために、中国人労働者500人を入国させようとしていたことが発覚しました。
このように、中国はインドネシア経済への影響力を強めており、国内の華僑の存在感もますます高まっています。しかし、感染拡大により社会が不安定になれば、また華僑や中国への憎悪が一気に爆発する可能性があります。
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