総務省は6月12日、楽天モバイルに対し、「Rakuten Mini」の一部で認証を受けた周波数が無断で変更され工事設計に合致していないとして、電波法の規定に基づき報告するよう求めました。法令遵守はもちらん、ユーザーに対する説明義務も果たさない楽天モバイルの姿勢に疑問を呈するのは、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんです。石川さんは、仕様変更の理由に米国出張が多い三木谷CEOの不満があるとの噂を紹介。標榜する「モバイルネットワークの民主化」とは真逆で、独裁的なキャリアなのでは?と厳しい言葉を投げかけています。
Rakuten MiniがBand 1からBand 4への周波数変更を実施――モバイルネットワークの民主化ではなく独裁化?
楽天モバイルの「Rakuten Mini」が勝手に対応周波数を変更していたとして話題となった。発売初期には対応していたBand 1がなくなり、新たにBand 4に対応。楽天モバイルとしては「海外ローミングでの利便性を向上させるため」と説明しているが、何の告知もなく、対応周波数を変更。しかもユーザーの指摘でようやく事実が明らかになったことが不信感につながっている。
本来であれば、仕様を変更したということできっちりと告知すべきだし、技適もしっかりと処理しておくべきだ。販売サイトへの記載も必要だし、できればBand1対応版とBand4対応板を選べるようにしておくのが理想だ。
IIJmioのeSIMを使って国内で使いたい人もいるだろうし、Google FiのeSIMで海外をメインに使いたい人もいるはずだ。楽天モバイルは「全機種でSIMフリー」をアピールしているのだから、楽天モバイルを解約した後のためにも、対応周波数に関してはちゃんと責任を持ってもらいたい。
確かに、2月上旬にサムスン電子によるGalaxy新製品発表会でサンフランシスコに出張した際、他のメディア関係者が「Rakuten Miniを持ってきたのに全然つながらない」と嘆いていたことがあった。自分はAQUOS Sense3 liteだったため、全く問題なかったが、Rakuten Miniは全くといって良いほど役立たずだったのだ。
今回、気になるのが、なぜ、発売後のタイミングでわざわざ対応周波数を変更したのかという点だ。確かにメディア関係者のように実際にアメリカで不都合に遭遇した人が多く、楽天モバイルにクレームを入れたことで、仕様が変更になったのなら理解できなくもない。しかし、ならばしっかりと「新しいロットは海外のBandに対応した」とアピールすべきではないか。また、すでに購入したものの海外ローミングで不便していたユーザーに対して、交換対応してくれても良いのではないか。
SNS上では「アメリカ出張の多い三木谷浩史CEOから不満が出て、端末の仕様を急遽、変更したんじゃないか」という推測の声が上がっていた。確かに「さも、ありなん」という気もする。ただ、CEOの鶴の一声で、端末の仕様がガラリと変わってしまうというのも、キャリアとしてどうなのか。
楽天モバイルの三木谷浩史CEOは「モバイルネットワークの民主化」を掲げて、第4のキャリアとして参入している。しかし、今回のように民衆の声を一切無視し、CEOの一存で仕様を黙って変更するなんて、民主化どころか独裁的なキャリアなのではないか。
新規参入したばかりということで、ネットワークや端末などで度重なるミスを犯すのは仕方ないとも言えるが、もうちょっとしっかりしてもらわないことには年内300万、損益分岐点である700万契約も難しくなってくるのではないか。
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