たった1日違いで「大損」のワナ。加給年金を確実に受給する方法

 

じゃあ次に障害厚生年金の場合はどうか。まず障害厚生年金に配偶者加給年金が付くかどうかを考える場合は、大前提として2級以上の人でなければならない。

2.昭和53年3月7日生まれの女性(今は42歳)

厚生年金加入中の平成15年9月19日(病院に運ばれた初診日)に大ケガをしてしまい、片腕が動かせなくなってしまった。回復を期待し、リハビリに打ち込んでいたが1年6ヵ月経過した日(障害認定日)である、平成17年3月19日時点でまだ回復していなかった。そのため、あらかじめ相談していた社会保険労務士の障害厚生年金代理請求により、障害年金を請求する。

障害年金請求は原則として初診日から1年6ヵ月経過した日以降請求が可能となる(ただし、1年6ヵ月以内にもうこれ以上治る見込みがないような状態と判断されると1年6ヵ月待つ必要がない場合もある)。初診日が厚生年金加入中だったため、障害厚生年金となる。

請求の結果、2級と認定されて障害厚生年金2級50万円と、障害基礎年金2級78万円の合計128万円が支給される事になった。2級以上の人は国民年金から障害基礎年金も付いてくる。

さて、この障害年金の受給権発生時(平成17年3月19日)には65歳未満の夫やら18歳年度末未満の子は居なかった。なので配偶者加給年金224,900円とか子の加給年金224,900円(子の加給は障害基礎年金に付くもの)というものは対象外だった。受給権発生時のたった1日時点しか見ない。

その後、平成19年10月中に45歳の男性と婚姻し、その連れ子6歳とも同居するようになった。じゃあ、障害年金に付く加給年金というのはどうなるかというと、障害年金の受給権発生時(平成17年3月19日時点)にこれらの家族は居なかったのでもちろん、加給年金が加算される事は無い。

無いんだけれども…平成23年4月に障害年金加算改善法というものが出来て、障害年金に関しては受給権発生後に家族が居れば加給年金が付くようになった。

よって、平成23年4月時点で夫が居たから、配偶者加給年金224,900円が妻の障害厚生年金2級に加算される事になった。妻の障害年金総額1,504,900は円になった。

子の加給年金はというと、子はこの女性の実子ではないから加給年金の対象外。しかし、夫の連れ子と平成26年8月5日に養子縁組をしたため、平成26年9月分から子の加給年金が障害基礎年金に加算され始める。よって、平成26年9月分からの障害年金総額は1,729,800円となった。

…このように、一例ではありますが加給年金というのは、家族が増えたら必ず貰えるわけでもないし、何かと条件がありますので注意は必要です。

加給年金は年金額が増える嬉しいものなんですが、トラブルも多いんですよね…^^;

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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