コロナの失敗を隠せ。安倍政権が「専門家会議」を急ぎ廃止した訳

 

「大量の検査をしない」という大失敗

そんな小狡い手練手管を弄しても、日本のコロナ対策が大失敗だったという事実を覆い隠すことはできない。安倍首相自身は自らが主導した対策を「日本モデル」とまで自賛したが、そう思っている人は国内でも少なく、世界では皆無である。それについての言説はたくさん湧き出ているが、分かりやすいのは児玉龍彦=東大名誉教授のインタビューである(「日本の対策『失敗』/第2波へ検査拡充せよ」=毎日新聞6月30日付夕刊)。

東アジアの中でコロナ対策に失敗したのは日本だった。医療崩壊を防ぐという名目で政府主導によりPCR検査の数を制限してきた。大量の検査をしないというのは世界に類を見ない暴挙である。感染症を専門としている人間にとって、この発想はあり得ない。感染症対策のイロハは、誰が感染しているかをきちんとつかむことである。

このウイルスは、症状が出てから感染が見つかるというだけでなく無症状や軽症の人も多い。普段の暮らしの中で無自覚なまま感染を広げてしまうから、第1波でウイルスがどう広がり、どう引いていったのかわからない。流行が小康状態にあるうちに、感染の解析を一気に進めることが、第2波に備える重要なカギとなる。

台湾や韓国などの対策は、感染者の全容を明らかにしようとするもので、症状が出ていない人も把握して、社会の安全安心を守るというものだった。日本では無症状者を把握することがなおざりにされた。無症状の人が多い一方で、病院や高齢者施設に入り込むと、非常に致死性の高いウイルスとして牙をむく。新型コロナの持つこの二面性が十分に理解されていないから、政府の専門家会議メンバーの有識者があのような発言をするのである……。

あのような発言とは、「コロナはそこまで〔検査を広げるほど〕のものではない」「大量に検査すると医療が崩壊する」といった内容のものだが、さて果たして専門家たちは本当にそう思っていたのか、それとも政府にそう言わされていたのか、そこはこれから突っ込んだ検証が必要な1つのポイントである。

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