首都の活力維持?
【読売】は3面の社説。タイトルを以下に。
小池知事再選
首都の活力維持に課題は多い
●uttiiの眼
小池氏以上に言葉が上滑りして、しかも書き手の「熱意」を感じさせない文章。そもそも課題は「首都の活力維持」であり、「経済を萎縮させずに、感染を防ぐという難題」と規定するところから始まっている。
社説の中ほどでは、「小池氏が最優先で取り組むべきなのは、感染症対策の強化だ」として、「検査能力の向上や医療提供体制の充実を着実に進めること」が大切だとする。「保健所との意思疎通」を図れとか、「政府や区市町村と協力して、適切に業務を遂行せよ」などと書かれていることに、反対の人など誰一人いないだろう。しかし、これらの浮ついた言葉の下で、実際に何が行われるのか、そこが問題なのに、《読売》社説子はその点を指摘する気もないようだ。
「7つのゼロ」は何処へ?
【毎日】は5面の社説。タイトルを以下に。
都知事選で小池氏再選
地に足着けて問題解決を
●uttiiの眼
見出しには現れていないのだが、社説全体を通して感じられるのは、小池氏の「キャッチフレーズ的な政治」に対する強い批判だ。
例えば、件の「東京版CDC」については、「創設することを公約に掲げたが、その具体像は示していない。提起した以上は、速やかに説明してもらいたい」と苛立ちが文面に表れている。また、東京アラートを廃止して新たなモニタリング指標を示したことについては「アラートの発令基準を上回る新規感染者数などが報告されていた中での変更だ。コロナ対策と選挙を絡めたのではないかとの指摘も出ている」とする。この「変更」についても、なぜ数値基準がない指標に代えたのかなど、やはり、説明がないことを批判している。
さらに、4年前の知事選公約で掲げた「7つのゼロ」のうち、達成したのは「ペット殺処分ゼロ」だけ。「築地市場の豊洲への移転延期を含め、パフォーマンスに成果が伴っていない」と厳しく批判している。
「アラート」を「モニタリング」に代えたのは、アラートの基準について追及されることを避けようとしたのではないか。他候補からの批判というよりも、有権者に「数値が基準を超えているのになぜアラートを発動しないのか」という疑念の目で見られることを恐れたのかもしれない。最初から耳目を引くことだけを目的としたアラートだったと言われても仕方がないだろう。
知事の「情報発信力」
【東京】は1面の定番コラム「筆洗」。
●uttiの眼
冒頭、映画「シコふんじゃった」の1シーン、「相手は強い。お前が平幕なら、向こうは横綱だ。しかし、だからこそ勝機がある。向こうは勝って当たり前だからな」と監督が選手に声を掛ける。小池さんは横綱で、ライバル候補たちはまとめて土俵の外にうっちゃられてしまった、と。
筆洗子は、それでも小池氏に「都民からの全幅の信頼の結果と勘違いされては困る」とクギを刺している。小池氏のコロナ対策に不満はあるが、「都民はこれまでのコロナ対策を大幅に変えることにも慎重でこの段階で小池さんを交代させたくなかったのだろう」という。
今度は横綱である「コロナ」に平幕の小池氏が挑むことになるとする筆洗子は、「情報発信力に定評がある人だが、最近の発言はどうもはっきりしない。正直、状況に手をこまねいている印象もある」という。「情報発信力」と「キャッチフレーズ」は表裏の関係だろう。実のある情報を発信してもらわなければ困るのは都民だ。
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