官邸SNS運営からTVニュース買い切りも。日本を牛耳る電通の正体

 

電通の「買いきり枠」番組を一切見ないのがお勧め

こうなると、電通に抗議する方法は何もないのかと諦めてしまうことになりますが、それでも一つ効果的な方法があるとすれば、電通が保有する、いわゆる「買い切り枠」の番組を一切見ないという選択肢があります。

この買い切り枠というのは、80年代ごろまでは在阪民放各局に特定スポンサーが一社提供する一社枠というものが多く存在していたことから、ゴールデン、プライムといった夜の主要時間帯は「電通買切り枠」といった番組が驚くほど多かったものですが、最近ではそうしたスポンサーも激減していることから、かなり少なくなっているのが実情です。

それでも今もいくつかの有名番組、ニュースなどが「電通の買いきり枠」として存在しています。

あの報道ステーションも「買い切り」枠

テレビ朝日系の夜9時54分から帯番組となっているニュースショーの報道ステーションは、1985年に久米宏がキャスターでスタートした「ニュースステーション」の後番組ですが、この枠が月-金ベルトの枠としてスタートした時点から、全国ネットの放送部分はすべて電通が買い切りをしています。つまり、スポンサーがつかなくても電通がカネを払う枠としてスタートしたわけです。

当時のテレ朝は、夜10時台は系列局の朝日放送が制作するドラマの視聴率が高かったものの、それ以外の番組は鳴かず飛ばすで、起死回生の策として編成が持ち出してきたのが夜10時台のニュースショーということだったのです。しかし、本当にスポンサーがつくかどうかわからないときにすべて買い切りにすることで番組を支えたのが電通で、この番組は電通なしにはスタートできなかったと言っても過言ではありません。

しかし、公共性、中立性の高いニュースを特定の代理店が買切りするというのは、スポンサーの選定に大きな影響を与えることになるわけですから、当時、民放他社の報道部門の責任者は、自局ではあり得ない判断であると強く批難していたことを思い出します。

もちろん、局側にスポンサー選択の最終権限があることは間違いありませんが、これだけの金額を買い切りしている電通に、スポンサー選定のイニシアチブがあることは明らかで、2011年の東日本大震災後の報道ステーションにおける原発報道を巡って、電通が局に横やりを入れてきたのは記憶に新しいところです。

本来、番組提供するスポンサーが報道の中身に口出すなどということはあり得ないのですが、電通だけの買い切り枠ともなれば、こうした歪んだ状況も実現しやすくなるというわけです。

テレビ東京「WBS」「モーサテ」も残念ながら電通の買切り枠

電通が番組開始の当初から一貫して買い切りとしていることで有名なのが、テレビ東京の夜の経済ニュース「ワールドビジネスサテライト」通称・WBS、ならびに朝の「モーニングサテライト」通称・モーサテの枠です。

この二つの枠も、月-金ベルトで電通を通してしか番組提供することはできません。こちらも電通仕切りなので、ある意味なんでもありの提供形式で、本来は1番組中同業者のスポンサーが複数入ることなどはあり得ませんが、「モーサテ」を見ていますと、混在状態で典型的な「買い切り枠の掟破り」が公然と実現していることがわかります。

もちろん、提供するスポンサーがそれで納得すれば仕方ないことですが、経済ニュースといっても証券、金融業界のSell Sideにとって不都合な内容をニュースにするはずもなく、視聴にはそれなりの注意が必要であることは間違いありません。個人投資家の方は熱心にこの2番組を視聴されているかと思いますが、私はまったく見ていないのが実情です。

テレビ番組というのは、制作費、電波料、ネット費という3つの料金合計から生成されており、制作費はその名の通り番組制作費であり、ネット費は地方局へのネットの提供料の分け前負担ということになり、電波費がいわゆる番組提供料の根幹をなすものです。

テレビ放送の場合には、スポットという必要量だけを各局から買い付ける方法もありますが、視聴率が悪くなりますと視聴率に一定単価をかけて金額を算定するテレビスポットの価格も下がることになりますし、前述の電波料にも視聴率はそれなりの影響を与えることになります。

こうした、電通買い切り枠に対する視聴拒否というのが効力を発揮するためには、とにかく視聴率がガタ落ちになり、スポンサーが離反するというところまで時間をかけて行う必要があるのは確かですが、確実にダメージを与えることになるのは間違いありません。

ニュースというと、とかく局制作で中立性があるものと信じられていますが、実は様々な形で電通が関与し、影響を与えているということはしっかり理解しておきたいところです。

この手の話は、既存のメディアでは全く触れられませんが、実はこうした構造を持っているものなのです。この構造を知っていると、もう地上波のニュースなど見たいとは全く思わないのが、私の個人的な気分です。

image by: Manuel Ascanio / Shutterstock.com

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