モノ消費でもコト消費でもない。これからは「ヒト消費」の時代

 

4.ヒトからコトが始まり、モノがついて来る

経済効率、経営効率を考えると、コストダウンが必要になります。小売業の最大のコストは人件費です。ですから、セルフサービスのように人件費を減らそうとするわけです。人件費を減らし続けると、最終的に無人化に行き着きます。「アマゾンゴー」はICTにより無人店舗を実現しました。

しかし、無人化がエンターテインメントになるなら良いのですが、単に省人化ということなら魅力はありません。最初は珍しいでしょうが、やがて飽きられると思います。

コロナ禍で身動きが取れなかった時、中小企業の経営者や農家はSNSを通じて、顧客に情報発信し、コミュニケーションを取りました。クラウドファンディングを活用する場合も、顔が見える個人であることが大切です。

個人が顔を出し、顧客と直接コミュニケーションを取るビジネスは、無人化と対極にあります。生産者と消費者が個人として出会い、対話し、商品を選び、購入する。商品を使った感想や御礼を生産者に伝え、生産者はそれを受け取ります。

省人化、無人化と進む方向とは正反対に、ヒトがモノを作り、そのモノを喜んで使うヒトがいる。そのヒト達には、つながりがあるのです。そして、そのつながりが嬉しいし、仕事のモチベーションにもなります。

ヒトが中心になると、ビジネスとプライベートの際も崩れます。売り手と買い手の関係も崩れます。どちらが上でも下でもなく、横にいてつながっているのです。

まずはヒトです。ヒトがコトを始め、後からモノがついてきます。ネットでも店舗でも、すべてはヒトとヒトの関係が基本になります。

編集後記「締めの都々逸」

「家にこもって 人恋しくて 商店街で モノを買う」

小売業ではアマゾンが最強で、最終的に独占するんじゃないかと思っています。その反面、全く異なる小売業のコンセプトがあるかもしれないとも思っています。

効率追求と正反対の方向。モノが余って、コトにも飽きて、ヒトとつながりたいというニーズが高まっているのではないか。全てのビジネスの基本は会社ではなく、個人になっていくのではないか、という予感というか、直感を感じています。(坂口昌章)

image by : shutterstock

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