日本憎しの韓国が狙うWTO事務局長の座。過去もあった隣国の前科

 

藩氏はまた、台湾は中国の一部だという見解を明言しており、かつて陳水扁元総統が藩氏に、台湾の国連加盟を求める親書を送った際も、中華人民共和国の代表権を認めた「アルバニア決議」を理由に、親書を返却しています。

これに対して、アメリカと日本は、台湾は国家としての条件は備えていないがアルバニア決議に台湾の加盟を妨げる表現はないと反論しました。

また、藩氏は、何かと親中の態度を見せており、2014年に香港で起こった行政長官の選挙をめぐる2カ月半にわたる大規模デモ、「雨傘運動」が起こった際にも、内政問題だと言うだけで何の意見も述べませんでした。そういう意味では、現在の状況と酷似しています。

このような人物が事務総長だったため、国連は有効的に機能していませんでした。国際紛争が拡大し続ける中、国連が機能しないのでは、その存在さえもが疑問視されます。その点もWHOのテドロス事務局長と同様でした。

とくに現在、米中貿易戦争は香港への国家安全維持法導入後、一層の激化が予想されています。これまで国際機関で目立った実績のない愈明希氏がWTO事務局長になっても、潘基文同様に、何もできずに右往左往する事態が予想されます。

もっとも、下馬評ではナイジェリアの候補者が本命視されているようです。現在、出馬を予定しているのは、韓国の愈明希氏以外に、メキシコのヘスス・セアデ外務次官、ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏、エジプトの弁護士ハミド・マムドゥ氏、モルドバの元駐ジュネーブ大使のトゥドル・ウリアノブスキ氏です。

ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏は財務相、外相を歴任し、世界銀行の幹部を務めた経験もあります。国際機関での活躍経験という意味では、十分です。

もっとも、ナイジェリアも中国から多額の援助を受けている国です。その点はWHOテドロス事務局長のエチオピアと同様です。ただし、新型コロナでは、中国にいるナイジェリア人が感染源として差別の対象になっており、ナイジェリアでの反中意識が高まっています。ナイジェリア政府は中国当局に直ちに対処するように要求しています。

中国でコロナめぐる差別、アフリカ諸国が猛反発「容認できない」

国連もその関連機関も、ますます無意味な存在になりつつあります。アメリカは正式にWHOからの脱退を表明しました。日本は国連信仰が強いために、WHOを信じて新型コロナの被害が大きくなったという話も少なくありません。

WTO事務局長選挙の立候補届出の締め切りは7月8日です(※編集部註:7月9日現在、立候補届出は最終的に8人)。選出までは6カ月程度かかるそうです。現在、アメリカはWTOの上級委員会(最高裁にあたる)が、中国の知的財産権の侵害や、中国政府による企業への補助金問題などに十分に対応できていないなどといった理由で、任期切れの上級委員の後任びを拒否し続け、7人定員の委員が現在では1人という状況で、完全に機能停止状態になっています。

自国への利益誘導を狙うことが明らかな愈明希氏では、このような状況を打開するには、さすがに荷が重すぎるでしょう。


 

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