このまま行けば日本は終了。コロナ危機を脱する対策なら2つある

 

2つ目は「人」の問題です。仮に大規模な雇用喪失が起きたとして、その場合に失業保険+生活保護といった現在の枠組みで救済していくのか、それとも別に枠を設けて大規模な救済をしていくのか、プランを考えておかねばなりません。

3つ目は資本の問題です。仮にコロナ危機が深化して、秋以降の日本で感染爆発が起きてしまうと、観光業は壊滅的になります。多くの企業が清算ということになるでしょう。その際に、「まだ使える建物」や「営業権」などをコツコツ買い集めて、本当に「ポストコロナ」へ向けた投資をする動き、つまり逆張りの動きも出てくると思います。

その再生へ向けた資本というのは、どこから引っ張ってくるのか、例えば欧米系のマネー、中国系のマネーも大規模に入る可能性があるわけですが、それが過度にならないためには、民族資本もしっかり加わって行かねばなりません。それは、民間でリスクを取って調達ということになるのか、それとも官民で何かスキームを立ち上げるのかということは考えておいた方が良いと思います。

もう1つ、自動車産業の行方も大変に心配です。ラフな速報ですが、北米の自動車販売に関しては、2Q(第2四半期)を終えた時点で、「前年比マイナス23%」という恐ろしい数字が出ています。ですが、よく考えるとアメリカの場合は1月から3月はまだクルマが売れていたので、この数字はまだ「危機が本格的に反映」してはいません。今後、

  • リモート勤務・通学の拡大と定着による人の移動そのものの縮小
  • 失業者の増加による自動車購入見送り
  • コロナ対応による販売店訪問の忌避
  • 東部や太平洋岸から、南部・中西部への感染拡大

という4つのマイナス要因が下期の北米の自動車セールスを直撃していきます。これも、日本経済にとって大変に大きな問題です。

やや大雑把な議論になりますが、観光・運輸・自動車といった3つの産業だけを考えても、経済ということでは未曾有の危機が続くように思います。これに対する対策としては、2つ考えられます。

1つは、思い切って資金を調達するということです。国債を大規模に国際マーケットに向けて売っていくということもありますし、民間のマネーも世界規模の調達を行うということが必要です。その場合には、ゾンビ化する部分には資金を回さずに、高付加価値と先進性のある領域に集中した投資を行うのは当然ですが、その分野であれば、2010年代までの日本では想像もできなかったような大規模な資金調達をやっていいと思うのです。

こうした危機に対して財政規律にこだわる向きも多いのは承知していますが、ここまで深い危機における「資金調達」というのは「国の借金を増やす」のではなく、むしろ「国の資本金を増資する」のだという姿勢で臨むべきです。そして、世界の多くの国や企業が猛烈にカネを集めている、つまり借りまくっている中では、日本の行動はむしろ健全であり、投資のクオリティとして比較優位を打ち出せるのです。どの国も「ダメダメ」である中で、日本の競争力とか投資先としての魅力はいくらでも浮上させることは可能です。そして、そのように2020年の世界において魅力的な領域に絞ってカネを集め、カネを投下していく、そのような経営が求められると思うのです。

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