オリジナルの商品を扱っているお店は別ですが、一般的な小売店となると、どうしても同業のお店で似たような商品を販売することになります。そこでキーワードとなってくるのが「差別化」。同じような商品を扱う店が数多くある中、自分のお店を選んでもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。そんな悩みを抱える販売員さんは少なくないようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、「販売員が独自性を身につけるべし」とし、そのヒントを記しています。
独自性はどこから
最近は、どこの店でも似たような商品が増えたように感じます。A店で売っている商品が、B店では商品名こそ違えど似たデザインであったり、似た機能を持っていたりするわけです。普遍的なものが好まれるようになった時代背景もあるのか、こう感じることは少なくないように思います。
別にそのことを否定する気などはさらさらなく、良い商品が増えてくれることはありがたいのですが、販売員側とすれば、じゃあ似たような商品を扱う店がたくさんある中で、どうすれば自店を選んでもらえるかは、かなり頭を悩ますことになります。実際に、「周辺の店でも同じような商品を扱っている店がたくさんあるので、顧客をどう増やせばいいかがわからない」という声は、研修中にもよく耳にします。
そこで求められるのが独自性です。
その店ならでは、その販売員ならではの独自の魅力を持つことができれば、お客様が同じような商品を探す時にでも、「やっぱりあそこへ行こう」と思ってくれやすくなりますよね。だからいかに独自性を作るか、そしてそれをいかに打ち出すかを考えなければいけません。
こうした独自性に関する話は、マーケティング系の記事や本などにも数え切れないほどに書かれている話ではあります。ただ、ここでは販売現場に立つ販売員について考えてみたいと思います。
販売員が独自の魅力を打ち出すとしたら、どんなことが考えられるでしょうか。見た目もあるでしょう。コミュニケーション能力も欠かせません。お客様への気遣いが優れているとか、知識をたくさん持っているということも必要かもしれませんよね。
ですが、個人的に最も欠かせないと思うのは、普通のこと、当たり前のことをどれだけ高いレベルでできるかなのではないでしょうか。
店や商品が(悪い言い方をすれば)画一的になってきている。仮定ですが、この前提があると考えると、販売員も同じように画一的になりつつあると言えます。それは商品が似てきている中で、店の作りや雰囲気なども似てきている中では教育や育成のやり方も近しいものが増えるからです。
例えばオペレーションが同じなのであれば、マニュアルだって同じものが理想的になってくることは当然ですよね(理念とかの話は抜きにしています)。だから、基本とされることも似てきます。
ここで現実的に考えてみると、その基本を高いレベルでやれている人がどれだけいるのかという話になります。
あくまでも個人的な意見ですが、この部分については、正直今現在のレベルはそこまで高いものではないと感じます。業界全体が人材不足にあえいでいる中で、人の確保が優先され、その中身は後から教育するというやり方になっていますが、結果、教育も育成も時間がかけられずに人が育っていない店がたくさんあります。つまるところ、商品についても接客についても、素人同然の人が増えつつあるわけです。
ですから、当たり前だとされているような基本の部分もよく分からないままであったり、低いレベルのままやっているつもりの人が多くなっているように思います。ということは、それらの基本を他の店や他の販売員以上に、高いレベルでやるだけで独自性が現れるということになるのです(前置きが長い)。
何が言いたいかと言いますと、独自のサービスを打ち出していこうとか、こういう新しいことをやればお客様に選んでもらえるんじゃないだろうかとか、そんな話の前に、本当に基本的なサービスや接客の基礎がちゃんとできているかどうかを考えなければいけないということ。それが高いレベルでできているだけで、「この店はすごい」と思ってもらえる可能性が高まっている時代とも言えるのです。
これをやらずに、特殊なことをやってお客様を集めようとしても、結局のところは、お客様に選んでもらえることは少なくなります。販売員としては、ここをしっかり考えて独自性が出るくらいの基礎レベルを持つ意識を持っておきたいものです。
今日の質問です。
- 独自性を作り上げる要素とは、どんなものだと考えますか?
- 自分自身の接客やサービスから独自の魅力を出すとしたら、どんなことが必要ですか?
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