3.店舗とランディングページの違い
店舗は一目見るだけで店舗全体のイメージを感じることができます。ショーウインドーのディスプレイ、床、壁、什器、天井の照明、そして、数多くの商品、販売スタッフ等々。それらがリアルな質感を伴って、五感に迫ってくるのです。
どんなにランディングページのデザインを工夫しても、モニターの平面上の画像であり、三次元の空間の持つスケールや、大理石やガラス、オーク材などの持つ質感や肌触り等を再現することはできません。
その代わり、ランディングページには、画像だけでなく、商品の性能や説明等をテキストに盛り込むことが可能です。平面デザインという意味では、カタログやパンフレットに近いのですが、そのまま決済して、配送を依頼することができます。そして最も重要なことは、ほぼ全ての作業が無人で行われるということです。商品を訴求し、購買につなげる装置としては、とても優秀です。
例えば、実店舗でブランドイメージを体感し、各商品はWEBサイトで説明を読んでから購入するという役割分担もできるかもしれません。実店舗はブランドイメージを感情に訴求し、ランディングページでは商品を論理的に訴求します。両者の機能は全く異なっており、同列に論じることはできません。
4.リアルとデジタルのメディアの違い
実店舗が主流だった時代、ブランドや店舗、商品の情報は雑誌が担っていました。ファッションで雑誌であれば、著名なファッションフォトグラファーが写真を撮っていました。また、エディターやスタイリストなど、様々なプロフェッショナルが誌面を作っていました。
ネットショップのランディングページも画像はとても重要です。しかし、ファッション雑誌ほどのクオリティは稀です。ブランドのイメージではなく、商品そのものを販売するためのページなので、感情に訴求する必要はなく、商品がよく分かる明るくはっきりとした写真が好まれます。むしろ、演出過多な写真は宣伝っぽく、信頼されません。
ファッション雑誌の廃刊が増え、ファッションメディアはインスタグラム等のSNSに移行しました。プロのエディター、スタイリスト等よりも、等身大のインフルエンサーが支持を集めるようになりました。こうなると、企業、ショップより、個人の情報発信の方が優位に立ちます。最早、ネットショップより、インフルエンサーのSNSで商品が売れる時代になっています。
実店舗、ネットショップ共に、外部のメディアとの連携が重要です。広告料を支払って宣伝するより、信頼できる個人の情報が優先されるということになると、メディアの広告モデルも崩壊するかもしれません。
実店舗はブランドを感情を含めて、訴求します。ネットショップは論理的な情報により商品を訴求します。しかし、この訴求そのものが、既に時代にマッチしていないのかもしれません。訴求より共感が優先し、人とつながるために自分の行動や購買を決める。そうなると、オンラインサロンのようなコミュニティで商品を企画、生産して販売するようになるかもしれません。
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