小沢一郎が動いた。「民主主義を守る」立憲・国民の合流新党は日本を救うか?

arata20200813
 

安倍政権に批判的な有権者の受け皿として大合流が期待されていた立憲民主党と国民民主党ですが、蓋を開ければ国民側が分党した上で、賛成派のみが立憲と合流するという結果となりました。この「小規模合流」については期待外れとの論評も上がっていますが、「国民民主党代表の玉木氏の労を多としたい」と評価するのは、元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』にその理由を記すとともに、新党への国民の目線を刷新する必要性も訴えています。

立憲と国民の合流新党が、日本の「ラストチャンス」に?

党名をめぐって難航していた立憲民主党と国民民主党の合流がやっとのことで、実現しそうだ。

立憲民主党の福山哲郎幹事長が8月7日、国民民主党と合流する場合の新党名を「国会議員の投票で決める」と表明したからだが、国民民主党側はすんなり全員とはいかず、「分党」したうえ、となるらしい。

8月11日に「分党」の方針を表明した国民民主党の玉木雄一郎代表は「消費税減税など軸となる基本政策について一致が得られなかった」と理由を説明した。

政策の違いはもちろんある。消費税は、国民が5%へ減税、立憲は引き下げに慎重。原発は、立憲が即時ゼロ、国民は2030年代ゼロ。憲法改正については、国民が積極的に議論すべきとし、立憲は9条改正に断固として反対する。

しかし合流の目的は、野党勢力の大きな塊をつくるため政策の違いを超えて結束することにある。それは、誰もが分かっているはずのことだ。どうしても立憲と一緒になるのは嫌だというのは、政策よりむしろ、感情的なしこりがあるからとしか思えない、

立憲の枝野幸男代表と袂を分かったばかりの山尾志桜里議員などは、どういう考えなのだろうか。枝野代表が国民民主党に対し上から目線だと反発してきた面々はさて…。

玉木代表は立場上、残留組と行動をともにするようだが、誰が立憲と合流し、誰が別行動をとるのか、仔細が決まるのは、お盆休みが明けてからだろう。

立憲サイドには、意見対立でゴタゴタが続いた民主党時代と同じ轍を踏まないためにも「分党」は歓迎、という声もあるようだが、小さな規模の合流になってしまっては、野党結集のうえで物足りない。

「党名」をどうするかが問題のはずだった。立憲民主党がそのまま「立憲民主党」を提案したのに対し、政党支持率がかなり劣る国民民主党は「無記名投票による決定」を主張、合流目前のところで足踏みしていたのを、立憲が歩み寄り、これで万事うまくいくように見えた。

投票案受け入れを発表する前日の8月6日、立憲の枝野代表が国会内で小沢一郎氏(国民民主党)と会談している。

懸案となっている新党名の決め方について、小沢氏は枝野氏に対し、「党名を投票で決めると決断してほしい」と要請。枝野氏は「もうしばらく考えさせてもらいたい」と応じたという。(朝日新聞デジタル)

小沢氏は、党名にこだわるよりも、いま大切なことをやり遂げようと説得したに違いない。このままでは野党の弱体がいつまでも続き、堕落した安倍自民党政権を生き延びさせてしまう。野党の連合が必要だ。まずは立憲と国民が一つの党になって、野党連合の核をつくらねばならない、と。

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image by: kyouichi sato / CC BY

枝野氏が即答できなかった気持ちは、わからぬでもない。「週刊新潮」2020年8月6日号の記事における野党担当記者の解説がいい所をついている。

「両党が対等に解散して一緒になる新設合併方式や、新党の略称を『立民』ではなく『民主党』とすることで、すでに国民側に譲歩しているという思いがあるから。これ以上、玉木さんに歩み寄りたくないんですよ」(野党担当記者)

何も枝野氏だけの思いではないだろう。要は、立憲は国民民主党を“吸収合併”したかったのだ。国民の玉木代表があくまで“対等合併”を主張して譲らなかったため、枝野氏は党内の強硬派を説得し、両党とも解散のうえ新党を結成する案を提示した。それが、新設合併方式だ。

これで、吸収も対等もなくなったはずだが、枝野氏が提示した党名案に国民側としてはひっかかった。新党の名称を「立憲民主党」とし、通称・略称を「民主党」とする。「民主党」は国民民主党の略称だ、立憲は譲歩したのだと言われても、国民側とすれば、「立憲民主党」を正式名称とする以上、イメージとしてはいかにも吸収合併のようでイヤな感じは拭えない。

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