60兆円 世界にばらまき 成果ゼロ。安倍首相の負の遺産で日本は終わるのか?

 

「政治は結果」ですから、どれほど長く首相をつとめたかではなく、何をやったか、どんな成果を挙げたのかが、その政治家を評価するすべてです。たとえば、これまで連続在職日数が最長だった佐藤栄作氏を見てみると、日韓基本条約を批准し、非核三原則を提唱し、沖縄返還を成し遂げています。

長期政権のメリットは、このように大きな外交問題とがっぷり四つに組むことができる点です。毎年のように首相が代わっていては、相手国の首脳と信頼関係を築くことが難しいだけでなく、政府内の引継ぎの手間も増えるため、複雑な外交問題を解決することは不可能です。しかし、長期政権であれば、これが可能になります。佐藤栄作氏の成果である沖縄返還は、長期政権だからこそ成し遂げられたのです。

佐藤栄作氏に関しては、非核三原則を提唱しながらも、米軍による核兵器の日本への持ち込みを米政府と密約していた問題など、叩けば埃が落ちる問題がいくつもありますが、それでも沖縄返還を成し遂げたことは大金星です。ちなみに、さっきから「がっぷり四つ」だの「大金星」だのと書いていますが、あたしは、お相撲はまったく見ませんし、知識ゼロです。横綱の下が大関で、大関の下が関取だと思っていたほど無知です。

ま、それはともかく、首相を5年半つとめた小泉純一郎氏も、2002年には北朝鮮の金正日氏に拉致を認めさせて謝罪させ、2004年に5人の拉致被害者を取り戻しました。これに関しても、小泉政権が水面下で北朝鮮へ100億ドル(約1兆円)を支払ったとか、さらに莫大な金額を支払ったとか言われています。しかし、仮にそれが事実だったとしも、長年、まったく動かなかった拉致問題を、わずか5年半の政権で大きく動かした功績は称賛に値します。

…そんなわけで、5人の拉致被害者を取り戻した小泉純一郎氏よりも、沖縄返還を成し遂げた佐藤栄作氏よりも、さらに長く政権の座にいる現在の安倍晋三首相は、いったいどのような成果を挙げて来たのでしょうか。2006年9月、小泉純一郎氏の後を引き継ぐ形で、戦後最年少の52歳の若さで首相の座についた安倍晋三氏は、第1次安倍政権の最重要課題として「憲法改正」と「拉致問題」と「北方領土問題」を掲げました。そして、このメルマガを読んでくださっている皆さんの中にも覚えている人が多いと思いますが、この時、安倍首相は、拉致問題について次のように述べたのです。

「北朝鮮による拉致問題は、私の内閣で必ず解決いたします。拉致被害者を最後の1人まで取り戻し、全員が家族と抱き合える日まで、私は必ずやり遂げると国民の皆さまにお約束いします」

前任の小泉首相が5人の拉致被害者を取り戻してから2年しか経っておらず、世論も北朝鮮への怒りで一色だったため、このような目標を掲げざるをえなかったのかもしれません。しかし、この日から14年、拉致被害者は1人でも帰って来たでしょうか。たとえ1人も取り戻せなかったとしても、できる限りの努力をして、あらゆる手段を使って北朝鮮との対話を試みて、それでも進展しなかったのなら仕方ありません。

しかし、安倍首相の場合は、何もして来なかったどころか、国内の保守層の支持率をキープするために「対話より圧力」という真逆の政策を推し進めて来たのです。これにより、拉致問題は一歩も二歩も後退してしまいました。一方、口だけでなく行動もするアメリカのドナルド・トランプ大統領は、2018年5月、北朝鮮に拘束されていた米国人3人を開放させた上で、翌6月12日、シンガポールで史上初の米朝首脳会談を成功させました。

すると、安倍首相は、ここぞとばかりにトランプ大統領の成果に飛びついたのです。国内向けに「トランプ大統領と緊密に連携して日本人拉致問題についても米朝の議題に上げていただいた」と発表したのです。しかし、安倍首相が「トランプ大統領と30分にわたって拉致問題について電話会談した」と発表した、まさにその時間帯に、トランプ大統領はまったく関係ないことをセッセとツイートしていたのです。

いくら破天荒なトランプ大統領でも、同盟国の首相と電話会談しながらツイッターをいじるようなことはしないでしょう。安倍首相の発表が嘘であり、国内向けに「やってる感」を演出しただけと考えるのが普通です。この人の場合、一事が万事、すべてこれなのです。できもしない目標や、やる気もない目標を次々と掲げ、ご立派なネーミングを付けたり担当大臣を決めたりと「やってる感」だけは演出しますが、どの政策も成果を出せぬままフェードアウトか先送り。そして、野党からツッコミを入れられると「道なかば」、逆から読むと「ばかな道」、これが安倍首相の本質なのです。

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