「親の財布から金を抜く子供」を叱ってはいけないワケ。正しい教育法は?

 

子供には金を抜く事情がある

だからまずは落ち着いて、「どうして黙ってお金を持って行ったの?必要なら言ってくれればいいのに、何か理由があったの?」と穏やかに子の言い分を聞いてみることです。

私の場合は確か、欲しいものがあったのにその時たまたま親が不在で、そこに財布があったからという単純な動機だったように(うっすらと)記憶していますが、「親の関心を得たい」という理由で親の財布に手を出すこともあり得ます。

これは、反抗や不良行為と同じく、愛情飢餓感から来る行動です。つまり本当の目的はお金ではなく親からの愛情が欲しいという心の声の裏返しですので、叱るのはまったく逆効果であることがわかります。

与えるべきはお金ではなく無償の愛ですから、お金の件はすぐさま水に流し、親は子への接し方を顧みる必要があります。

「ダメと言ったらダメ」だけでは伝わらない

次に考えられるのは、「欲しいものが買ってもらえない不満やくやしさ」であり、どちらかというと仕返しや逆恨みに似た感情でしょうか。 この場合も、子の「欲しい」という欲求に対して、親がうまく説得・対応できていない可能性が考えられます。

たとえば「ダメと言ったらダメ!」などという、理由も根拠もないダメ出しで買ってもらえないとしたら、子ども心に理不尽さを感じるかもしれません。

むろん小さな子供の場合は欲求のコントロールは難しいし、善悪という概念も乏しければ仕方がないわけですが、少なくとも年中・年長以上になれば、言葉にすればわかってもらえるようになるはずです。

というのも、私の長男もいま年長ですが、「これこれこういう理由で今日は買わないよ」と話せば、それなりに納得してくれるからです。長男は発達障害で言葉の理解が遅れているにも関わらず、です。

やんちゃな子に効果的な「プレゼン制度」

次に、「単なるイタズラ」のケース。 たとえば友達に誘われて遊びに行きたい、ゲーセンに行きたい、というような場合、やんちゃな子は「へっへー!親の財布からお金をくすねてやったぜ!」という悪ノリで盗むこともあるからです。

この場合、やんちゃな子は純粋であることが多いため理由を聞けばちゃんと話してくれるでしょうから、「必要なら渡すから、きちんと言ってね」で理解してくれると思います。

ちなみにこのタイプは計画性や想像力が育っておらず、小遣い制だとすぐに使い切って再び親の財布を狙う可能性があるので、お小遣い帳をつけさせるとか、「必要な都度、親に申告・プレゼン」制のほうが合うかもしれません。

「いじめ」の可能性には常に注意する

最後は、深刻ないじめに遭っているケースです。 先輩などから「カネを持ってこい」などと脅されて親のお金を盗むというニュースが時々報道されますが、この場合はなかなか本音を話してくれない可能性があります。

どんなにやさしく丁寧に話しかけても、うつむいて何も話してくれない場合は、いじめを疑ってみた方が良いかもしれません。 これは担任の先生に相談するレベルかもしれませんが、言えないのは報復が怖いからです。

だから親は「なんとしてでもあなたを守る。学校に行きたくないなら行かなくていい。なんなら転校したっていい」などと、親は信頼でき相談できる存在であると安心してもらう必要があります。

もちろん、子といっても資質や性格はそれぞれ。適切な接し方も異なります。他の理由もあるかもしれませんし、もっと良い方法もあるかもしれません。

たとえばドカンと叱ってあと腐れなくスカッと終われば、子は子でスッキリ受け入れるという親子関係だってあるでしょう。だからこの考えが唯一絶対とか、正しいというわけではありません。

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