1位は本厚木「住みたい街ランキング」異変に見るコロナ時代の住宅選び

 

では、逆に問い合わせが減ったところは…というと、「コロナ禍での問合せ減少率ランキング」(首都圏版)では、減少率1位「秋葉原」は43.9%まで減少。

2位以下は、「仙川」(対前年同期比44.3%)、「西日暮里」(同47.6%)、「笹塚」(同50.7%)、「菊川」(同51.6%)「新宿」「高田馬場」など学生で賑わう街も軒並み減少。15位までのほとんどを都内が占めています。都心・近郊の交通・生活利便性のバランスが良い街が軒並み半分程度の問合せ数に激減しました。

2020年4月に入学した学生は、コロナ禍を受け通学する機会がないままオンラインで授業を受けている場合も多く、大学等の周辺や沿線周辺に居住する必要がないことが、問合せ減少に繋がっていると思われます。

減少率ランキングに登場する街の多くは、最寄り駅にターミナル性や交通条件が整っており、生活・仕事・余暇と全てがその街で完結し得るだけのポテンシャルがあります。しかし、コロナ禍にあっては、この繁華性・利便性が逆にあだとなり、「住みたい街」としての注目度が減少する要因になったと考えられます。

賃貸の動向なので、マンション購入者の意向より若い世代の考え方が反映されていると思いますが、移り住むのが簡単な賃貸だからこそ正直な今の感覚が反映していると思います。実際、私の周辺にも、これまでまったく眼中になかった郊外の不動産を調べた人がけっこういます。

コロナ禍で、密集して暮らすことへの不安や、リモートワークで通勤の必要性が減ったことが大きな要因であることは間違いないと思いますが、住居費(家賃やローン)の家計に占める大きな割合が、本当に意味がある必要な負担なんだろうか…と問い直したことも大きいと思います。

郊外に行けば、住居費が半分近くになり、浮いたお金を、生活を豊かにすることに使えます。今の世帯収入を維持し続けなければならない…というプレッシャーからも解放され、人生の選択肢が増えます。

郊外への脱出を考え始めたという都心の分譲マンションに暮らしている方が、本音を聞かせてくれました。

コロナ禍の今なら、郊外へ引っ越すのも「都落ち感」がなくて、なぜ?という説明もいらないし、堂々と宣言できる。狙い目は、近くに有名な私立の中学・高校がある郊外。今のマンションは賃貸に出して、郊外の家は借りる。広い住宅に引越しても、今のマンションの賃貸収入より家賃の方が安い。仕事も、今はほぼリモートワークという企業もいくらでも探せるようになったから、今の会社が、コロナ後にリモートワークをやめるといったら、転職してもいい…と。

「リモートワーク」が広く採用されるようになったことで、住む場所の選択肢がかなり広くなったことは、まちがいないと思います。でも、子供がいる家庭では、子供の教育環境というところは外せないようです。

さて、子育て世帯が、いろいろ考え始めたことが実行に移され、形に見えるようになるのは、来年の3月・4月、子どもの入園や入学の時期でしょうか。注目したいと思います。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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