アパレルは死を待つのみ?「異性の目」を気にしない世界で服を売るには

 

5.セルフメイドの魅力訴求

7番目のポイントは、「セルフメイドの魅力訴求」である。これまでは、常に経済合理性が追求されたが、大量生産から少量生産になると、コスパよりも体験型消費が求められるのではないか。簡単に言うと、モノ作りに顧客を参加させるということだ。つまり、自作の服やバッグ、靴を作りたいと思う顧客には何を提供すれば、それが実現するか、ということである。

たとえば、顧客が自分で素材や付属など、原材料を揃えるだけでも大変である。また、縫製加工するためのミシンなどの機械も必要になる。ミシンは時間貸ししてくれる施設もあるので、そこを利用してもいいし、工場に来て貰ってもいい。もちろん、素人にミシンを触らせると壊れる可能性もあるので注意が必要だ。

途中の段階まで顧客が行い、それを工場で仕上げることもできる。その場合、量産品より高い価格になるかもしれないが、それは仕方がないだろう。アイテムによるが、何枚以上、何個以上発注してくれれば、量産品と同じ価格で請け負うというサービスでもいい。とにかく、世界に一つだけのオリジナルを作って貰う。

自分で育てた野菜は美味しいし、自分で作った料理は美味しい。同様に自分で作った商品にも愛着が湧くはずである。企業が仕事として行うならば、いかに効率よく、早く作れるかが問われるが、趣味として作るならば、半年かけて一つの商品を作ってもいいのだ。

とにかく、メーカーが作ったものを並べて、顧客に選んで貰うというスタイルを打破し、顧客に作る作業に参加してもらう。これにより、顧客のコミュニティを作ることができれば、最終的にビジネスにつながるだろう。

編集後記「締めの都々逸」

「何もしないで 見ているだけじゃ 商売全てが 消えていく」

何か新しいことをしなければいけないけど、何をしていいのか分からない。そんな人を集めて、実践的な研究会なり勉強会をしたいと思っています。重要なことは、目先を変えるだけではなく、根本的な価値観を変えるということです。それが見えれば、次の時代に対応できるのではないか、と思います。

もちろん、それ以前に今の事業、会社が淘汰され、生き残れないかもしれません。でも、生き残れた人だけでもいいし、一度死んでから、復活したいという人も含めて、考えたいということです。(坂口昌章)

image by:iamshutter/Shutterstock.com

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