米国から見た菅政権「3つの特徴」日本が誇るべきこと再考すべきこと

 

そのぐらい、日本にとっては一人一人の生命というのは大事なのであって、1,500人でも失敗だと思っている、そんな風な自己理解をして、それを発信して国際社会にアピールしてはどうかと思うのですが、どうでしょうか?特に高齢者の救命、高齢者への感染防止などは世界にもっと誇っても良いと思います。

3つ目は財政規律の問題です。菅さんということでは、政治的にも、財政政策の上でも「10年は消費税は上げない」けれども「消費税率を下げることもしない」という姿勢のようです。硬直した財政規律派ではないが、財政規律のことを忘れるわけではないということで、一見すると筋が通っているようですが、経済の異常事態が続く中では、これが最適解なのかは分かりません。

とにかく、アメリカも欧州も、そして中国も、ポストコロナの経済を見据えて、カネをジャンジャン借りまくって、流しまくっています。ですから、日本はあんまり真面目に財政規律を意識していると、円高に追い詰められてしまいます。

丁度いい水準というのは難しいですが、とにかく経済の落ち込みを立て直すために、「生きたカネ」を引っ張ってきて、「必ずリターンの取れる投資」を思い切ってやっていく、そのような経営感覚が必要と思われるのですが、そのあたりはまだ見えていません。ポストコロナの経済については、慎重に過ぎると、流されて全体がダメになってしまう危険もあるように思います。

image by: 首相官邸

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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