インテル焦ってる?新型iPad Air自社製プロセッサの凄さと時代の変化

 

ここ数年のMacとiPhone/iPadの進化のスピードを見ると、違いが明らかです。iPhone/iPadは毎年のように30~40%性能を向上させて来ましたが、Macの変化はわずかです(私の開発マシンは、2016年に発売されたMacBook Proです)。Appleは自社製のプロセッサーに切り替えることにより、Macの性能向上のスピードを加速する事が可能になるのです。

つまり、「自社工場を持つ」というIntelの優位性は既に失われており、Apple、Tesla、Amazon、Googleなどのチップ屋さん(プロセッサーメーカー)の大手の顧客が、自らのニーズに合わせてプロセッサーを設計する時代に移行しつつあるのです。数年前までは、Intelの最大のライバルはAMDやQualcommだと考えられていましたが、「必要なプロセッサーはチップ屋さんから購入する」という前提そのものが崩れ始めているのです。

とは言え、自社製プロセッサを作れるほどの資金力・技術力・ビジネスの規模を持った会社は数えるほどしかいないので、チップ屋さんのビジネスが消滅するとは思いませんが、この手のカスタムチップの市場規模が無視できないところまで増えていることは、強く意識しておくべきです。

ちなみに、このイベントと同時に、iPhone向けのiOS14がリリースされたので、早速、指の動きを認識するAPIなどを試しています。Appleが機械学習に力を入れ始めたのは、わずか数年前ですが、そこからの進歩には本当に驚かされます。

巷では、エッジ・コンピューティング(サーバーではなく、端末側で画像認識・動画処理などの重い処理を行ってしまうこと)が話題ですが、iPhone/iPadが私たちの身の回りにあるもっとも強力なエッジ・コンピューティング・デバイスであることは明らかです。

image by:John Gress Media Inc/Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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