渋沢栄一の子孫が説く「メイド“ウィズ”ジャパン」は日本を救うか?

shutterstock_480293896
 

菅内閣が発足してそろそろ1か月が経過しようとしています。令和初の新政権。これまでの成功体験が通用しない、新たな時代へと突入していくことになるでしょう。そんなこれから日本について、世界の金融の舞台で活躍する渋澤健さんは、「メイド・ウィズ・ジャパン」の考え方が大切だと語ります。「メイドイン」ではなく、「メイドウィズ」とはどのような日本の姿を指すのでしょうか?

プロフィール:渋澤 健(しぶさわ・けん)
国際関係の財団法人から米国でMBAを得て金融業界へ転身。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(株)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。日本の資本主義の父・渋沢栄一5代目子孫。

「メイド・ウィズ・ジャパン」が日本を成功へと導く

謹啓 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

令和時代初の新政権が発足し、日本で新しい成功体験が築かれることを私は期待しています。

人口動態がピラミッド社会であった昭和時代の成功体験は「メイド・イン・ジャパン」でした。良質な製品を大量生産することで、主に先進国の大量消費の需要を満たし、日本は大成功を遂げました。一方、この日本の台頭で最大の海外市場であったアメリカから強いバッシングを受けるようにもなりました。

平成時代に入った日本は、人口動態がひょうたん型社会に変化。そして日本は、「ごめんなさい、貴方の国でつくります」と「メイド・バイ・ジャパン」に転じ、一定の成功を収めることができました。ただ、GDPなどの経済成長は鈍化し、日本は自信喪失に陥り、リスク許容度が著しく低下。気がつくと、日本はバッシングから、パッシング(素通り)されるようになってしまいました。

今から10年ほど前に、私は2020年が日本の時代の新たな節目になるのではないかという未来を見込んでいました。なぜなら、2020年頃から、人口動態がひょうたん型社会から逆ピラミッド型社会へと一気に加速するからです。

その結果、今まで日本が体験したこともない規模の社会的課題が生じることは間違いないと考えていました。一方、過去の成功体験を創った世代から、次の成功体験を創るべき世代へと、バトンタッチが全国規模で生じる時代の節目でもあります。

この令和時代の成功体験とは何になるべきか。私は、「メイド・イン・ジャパン」ではなく、「メイド・バイ・ジャパン」でもなく、「メイド・ウィズ・ジャパン」になることに期待しています。日本が世界に対して、一緒に持続可能な豊かな経済社会を共創しましょうという強い意思表明の呼びかけです。

特に日本からの呼びかけに好感を示してくれるのは、世界で数多い新興国・発展途上国ではないでしょうか。アジアではインドネシアやインドなど、そしてアフリカ大陸の国々の過半数を占めている国民は若い世代です。これら若手世代が求めているものは何でしょうか。

print
いま読まれてます

  • 渋沢栄一の子孫が説く「メイド“ウィズ”ジャパン」は日本を救うか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け