政治はエリートから庶民の手に。トランプの4年が目覚めさせたもの

 

「改革の時代」に突入した世界

改革の時代という意味では、貴族から武士に政権が移行した承久の乱以降の鎌倉幕府の時代が来たようである。55年体制から完全に移行する時代になったようだ。老人層やエリートたちの理想や理念から、国民全員の本音の時代になったようである。それに伴い、指導者も変化することになる。政治家の2世たちから、実力のある政治家へ移ることになる。庶民の気持ちのわかる政治家が必要なのである。

先に米国は、白人たちの本音を語るトランプ大統領が出て、米国一国主義に転換して、製造業を中国から米国に戻し、労働者の賃金を上げる方向であり、米中の経済分離政策を進め、かつ軍事費削減のために中東から米軍は撤退していくようである。そして、この方向は、バイデン候補が勝っても継続するしかない。

グローバリゼーションの大きな後退であり、移民も入れないとしたことで、今後は人と物の移動はできなくなる。しかし、知識や資金の移動はできる時代である。白人たちは、黒人など多民族より特権的な地位を要求しているが、その部分で分断が起きている。このままいくと「南北戦争2.0」などと言われているが、多くの部分では米国民の共通利益になっている。

要するに、自国民全員の所得を増やすことや自国民だけの安全な生活ができることが重要で、一部資本家・企業家の利益を増やすことではないことに米国の白人も黒人も気が付いたことで、企業の経営は大きな転換が必要になっている。バイデン候補が当選しても、企業の法人税を上げて、富裕税も上げて、製造業を戻し、国民全員の所得を上げる方向になる。

国民の多くは、自分だけの安全な生活や自分の所得を増やしてほしいのである。それが本音だ。企業経営者は、企業利益最大を目標とするが、それでは国民と乖離しているので、国民から選ばれる政治家がそれを変更することになるのだ。

米国は「軍産学複合体」が支配しているので、抜本的な改革ができなかった。それを最初に壊したのが、トランプ大統領である。一度壊すと皆が目を覚ますので、元の体制にはできなくなる。トランプ大統領を見ると、室町時代初期の婆娑羅大名のような感じである。権威も権力も否定して、派手な行動をする。時代を変えるには、そのくらいの行動をしないとできないのであろう。そして、時代がそのような人を必要としていたのである。

同じように、日本でも庶民首相が出てきた。菅首相であるが、エリートとは違い、ビジョンを示さないが、1つ1つの指示がある方向を示している。それは、グローバリゼーションを見直し、国民全員の所得が真に上げられる政策を行うことで、それは製造業や電子産業やデジタル産業の復興である。そのための研究開発である。

観光業などのサービス産業や土地が少ない農業の拡大では、国民全員の所得拡大は、できない。それと同時に、産業育成の規制緩和やデジタル化での官庁の縦割りを打破することにでるようだ。もちろん、農業の高収益化はできるが、北海道のような大土地農業が必要になり、多くの人が働くことはできない。

また、安全な生活を阻害する中国や北朝鮮からの紛争を防ぐ軍事研究を止める総理直轄の日本学術会議の委員任命を拒否した。これは、庶民の本音に基づいた判断である。ということで、日本にも庶民の本音を理解する面白い首相が出てきたようである。

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