非正規を使い捨てる日本。最高裁「ボーナスは正社員特権」判決の非情

 

50年以上前の1951年にILO(国際労働機関)では、「同一価値労働同一賃金」を最も重要な原則として第100号条約を採択していますが、この根幹をなすのは「均等」です。もちろん欧米では「ジョブ型」が根付いていますので、日本とは単純に比較できないかもしれません。

しかし、賞与と退職金の有無は、正社員と非正規の年収格差の最大の原因であり、それが今回の判決で「正社員の特権」としてある意味認められたことは、「報われない社会」の拡大につながることは間違いありません。

私たちは常に「他者」と比較することで、自分の不遇を納得させます。他者と比較することで、やる気などの前向きな気持ちが喚起されることだってある。それらが「幸福感」に影響を与える場合も少なくありません。

特に「カネ」にまつわる問題は、絶対的な賃金より相対的な賃金に大きく左右されます。いわゆる「賃金公平感」です。これは「自分が要求できると考えている金額が支払われているかどうか」に相当する感覚で、世間の相場など他者との相対的な比較によって決まります。

この賃金公平感こそが、職務満足感や幸福感に強く影響するのです。

総務省の労働力調査によると、去年1年間で非正規労働者は、前の年より45万人増えて2,165万人。働く人全体に占める割合も過去最高の38.3%となりました。そして、おそらく今後はますます増えていくことでしょう。

欧州では有期雇用は基本的に禁止しています。有期雇用にする場合は、制約が細かく決められていて、期間も限られています。

しかも、非正規は「企業が必要な時だけ雇用できる」というメリットを企業に与えているとの認識から、非正規雇用には不安定雇用手当があり、正社員より1割程度高い賃金を支払うのが“常識”です。

私は有期雇用は禁止すべきと考えていますが、みなさんはいかがでしょうか。

ご意見もお聞かせください。

image by: Shutterstock.com

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