任命拒否の本質隠しか?菅政権が日本学術会議を解体したい真の理由

arata20201015
 

菅首相の「推薦人6名任命拒否問題」に端を発し、そのあり方までが議論されることとなった日本学術会議。故意か否かは定かではありませんが、同会議に対する誤った情報もネット上やマスメディアで拡散される事態ともなりました。なぜ政権は6名を任命拒否とした理由を説明せずに、各術会議の存続議論を進めようと前のめりになるのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では、元全国紙社会部記者の新 恭さんがその理由を考察するとともに、無責任にデマを流す公人やそれを信じ同調する一部国民に対して苦言を呈しています。

任命拒否問題の本質を隠すため?繰り出される日本学術会議攻撃の数々

「総合的・俯瞰的」と曖昧語を駆使して国民を煙に巻く菅首相がまたまた奇妙なことを言い出した。

日本学術会議が推薦した新会員105人のうち6人を排除して任命した件。自分が最初に見たとき、会員候補リストには99人しか記載されていなかったというのだ。

ということは、菅首相は6人の除外判断に関与しておらず、他の誰かが無断で99人のリストを作成したということなのだろうか。内閣官房が、任命権者の指示もなくそんな勝手なことができるのだろうか。

10月9日、内閣記者会のグループインタビュー。該当する場面はここだ。

記者 「学術会議について、最初に案を見たのはいつで、その時点では105人の名前が載っていたんでしょうか?」

 

菅首相 「私が最終的に決裁をおこなったのは9月の28日です。会員候補のリストを拝見したのは、その直前だったと記憶しております。その時点では最終的に会員となった方がそのままリストにあったと思ってます」

 

記者 「任命する前の推薦段階でのリストはご覧にはなっていない?」

 

菅首相 「見てません」

それより数日前、10月5日のグループインタビューでは、菅首相はこう語っていた。

「日本学術会議については、省庁再編の際、そもそも必要性を含めてその在り方について相当の議論が行われ、その結果として総合的、俯瞰的活動を求めることにした。まさに総合的、俯瞰的活動を確保する観点から、今回の人事も判断した」

てっきり、菅首相の「総合的、俯瞰的活動を確保」しようとする意思が働いて、6人の任命を拒んだと受け取ってしまったのだが、違っていたのだろうか。

もし、別の誰かが、菅首相に相談もせずに6人を除外し、それを、日本学術会議の推薦リストですと見せて、菅首相を騙したのだとしたら、それこそ菅首相の沽券にかかわる由々しき問題だ。

すぐにでも、なぜそのようなことをしたのか、リスト作成者を問い詰め、聞き取った内容を国民に発表すべきであろう。そのうえで、105人のリストを復元し、任命しなおすのが筋である。

だが、ひょっとしたら、安倍政権から引き継いだ「ご飯論法」というやつかもしれない。

105人の推薦リストは見ていないが、政権批判をした6人を外すよう指示はしていた。あるいは官房長官のときに105人のリストを見ていたが、総理になって見たのは99人の名簿だというような。

野党合同ヒアリングにおける政府側の説明では、日本学術会議から内閣府に105名の推薦名簿が提出されたのは8月31日だった。菅氏がまだ内閣官房長官のころだ。その名簿について、側近の杉田和博内閣官房副長官や北村滋国家安全保障局長と話し合い、除外の方向で一致したと考えるのが自然ではないか。何しろ彼ら3人は、識者の言論に目を光らせ、圧力を加えるプロフェッショナルなのだ。

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