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味も形も想像できぬ。信州名物「辰野のほたる丼」とは一体ナニモノか

以前掲載の「卵でとじない。信州名物『駒ヶ根ソースかつ丼』のディープな世界」では、多くの方が思い浮かべるかつ丼とは少々勝手が違う「駒ヶ根ソースかつ丼」を紹介してくださった、無料メルマガ『郷愁の食物誌』の著者・UNCLE TELLさん。今回UNCLE TELLさんは、「辰野のほたる丼」なる、そのネーミングだけでは想像がつかない信州のご当地丼を取り上げています。

信州ご当地丼「辰野のほたる丼」

国道153号線、沿道の各地域どんぶりの会が手を取り合って「信州・天竜川どんぶり街道の会」を結成・連携を深めていると「卵でとじない。信州名物『駒ヶ根ソースかつ丼』のディープな世界」で紹介したところだが、もうだいぶ前になるのだが、その内のひとつ、辰野町のほたる丼を見聞試食すべく、友人と温泉行を兼ね取材と称し出掛けたことがあった。

辰野のほたる丼、ネットを見ると限り辰野町内ではけっこう認知はされている様子だが、松本市に住む私は、先の号で書いた『季刊信州』の記事ではじめて知った。まわりの友人何人かの内、聞いたことがあるという人もいたが、ちょっと離れたよそからはまだそれほど知られた存在にはなっていないようだ。ともあれ、松本市街から東山山麓線を経て、善知鳥(うとう)峠を越え、153号線を辰野町へ。

出力して持参したほたる丼についてのネット記事、ホタルの名所・辰野名物・ジューシーな信州鶏がおいしいほたる丼、その「ほたる丼マップ」、なんてカラフルな楽しいものもある。どうやら、ほたる丼はホタルの名所・辰野にちなんだネーミング、そして信州地鶏が丼にのったもののようだ。またサイトの情報によれば、ほたる丼は辰野町の商工会が音頭をとって2001(平成13)年に企画がスタート、その翌々年の03(平成15)年に販売を開始。辰野町界隈には、ギタローシャモなどおいしいい地鶏が何種類もあるので、鶏料理を盛り込んだ丼物にしたらどうかという話が進み、現在は“信州ハーブ鶏”を照り焼きにしてのせている。

スタート時に出来た基本レシピはあるが、この信州ハーブ鶏を120g使うことがほたる丼の唯一の決めごと、あとは店の裁量に任されているとか。だから店によってはかなりの個性も。町内に15店もが参加している信州辰野名物ほたる丼の会が出している「ほたる丼マップ」や、各店を紹介した記事をみて私たちが訪れたのはテンホウ辰野店。長野県内でラーメンや餃子のチェーン店を展開している店である。ほたる丼はその辰野店の独自メニューという。

訪れた時は丁度、繁忙の昼時、店長から直接話しは聞けなかったが、記事の中で語っているところによると、テンホウ辰野店のほたる丼は基本レシピに比較的忠実とのこと、その内容は、玉ねぎのスライスとともにオリジナルのたれを絡めて照り焼きにした鶏肉をメインに、半熟の目玉焼き、刻み海苔、レタス・キャベツ・にんじんなどをたっぷり使った野菜サラダがごはんの上に、なかなか彩り豊か…。半熟の目玉焼きがホタルの光を表している。

少し前のことだが、ネット上の日本全国ローカル丼選手権で「テンホウ辰野店のほたる丼」を紹介しているライター氏は、風味豊かなハーブ鶏+黄身がとろ~りの目玉焼き+新鮮サラダの相性バツグンのタッグ、箸を付けたとたん、終始無言で一気に完食してしまったと賞賛している。

私の感想は、同じ鶏肉を調理した丼でも、安曇野穂高の某店で食べた山賊丼より、テリ焼きの鶏肉がずっとごはんやタレ、他の具とも良くなじみ且つからみ、丼としての完成度(?)は高いと感じた。まあ、無性に何回も食べたくなる味か、駒ヶ根のソースかつ丼のようにこれから県下に広まる可能性を秘めた味か、その辺はわからないが、なかなかこってりした味でおいしく食べた後、充足感を感じる味である。なお、辰野町観光協会「認定特産品」というのがあって、ほたる丼も認定番号15として載っている。

image by: 辰野町観光サイト

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団塊の世代以上には懐かしい郷愁の食べものたちをこよなく愛おしむエッセイです。それは祭りや縁日のアセチレン灯の下で食べた綿飴・イカ焼き・ラムネ、学校給食や帰りの駄菓子屋で食べたクジ菓子などなど。

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【著者】 UNCLE TELL 【発行周期】 月刊

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