日本学術会議が中国と交わした“覚書”の闇。日本が工作に弱い理由

 

ところで、軍事研究をしない日本の学者は知らないでしょうが、中国の人民解放軍は「三戦」という工作活動を展開しています。この「三戦」は、2003年に中国共産党中央委員会、中央軍事委員会において採択され、中央人民解放軍の政治工作条例にも明記されています。

この「三戦」は、敵国に対して輿論戦、心理戦、法律戦を実施して、敵の組織を瓦解、分裂させ、敵の攻撃に反撃する手法です。これは怪しい陰謀論などではなく、防衛庁の軍事研究において、公表されています。

中国による三戦の定義等およびエア・パワーに関する三戦の事例

輿論戦は、新聞、書籍、ラジオ、テレビ、インターネット、電子メールなどのメディアを使って、自軍の敢闘精神の鼓舞、敵軍の戦闘意欲の減退を目的とする内外與論の醸成を指します。心理戦は、メディアによる宣伝、軍事的な威嚇、フェイクニュース、離間工作などによって敵の抵抗意思を破砕することです。そして法律戦は、自軍の合法性を強調し、敵軍の違法性を強調することです。

そして、中国は各国にこうした工作活動を展開しています。台湾も中国によるフェイクニュース被害が多いため、蔡英文政権はとくに災害時のフェイクニュースを法律で厳罰としました。

私は、日本の学者も、もっとこのような中国の軍事研究を行うべきです。軍事研究を行わないから、いいように騙される。日本学術会議の誰も「三戦」など知らないはずです。とにかく軍事研究をしないのですから。とすると日本の学者ほど、「三戦」を仕掛けやすい相手はいません。

もちろん、日本の政治もスパイ防止法、憲法改正などによって、日本の国防力を高めなくてはならない。私は以前から、反戦運動は敵国に仕掛けるものだと主張してきました。まさに平和ボケの護憲主義や軍事研究否定などは、中国の「三戦」に嵌った結果そのものです。

私は、優れた科学技術が日本に留まるように、技術開発や基礎研究に対してもっと多くの補助金を出すべきだと思っています。技術の海外流出を防ぐためにも、科学者や技術者をもっと優遇すべきだと思います。その一方で、他国へ国益を流出させた場合には厳罰に処す。そういったことが必要だと思います。

先日のメルマガでも述べましたが、これまで日本学術会議が学問的自由を直接的、間接的に弾圧してきた行為は多々あります。日本の安全保障を危うくしてきたその罪は小さくありません。しかも、日本学術会議は、日本共産党との密接な関係も噂されています。

インターネットもGPSも軍事技術から発展したものです。軍事技術と民生技術の垣根はほとんどありません。そしてその境界線がなくなってきているところを中国は狙っているのです。

日本の技術が流出しないように、そして日本の科学者たちをもっと優遇するように、イデオロギーにまみれた日本学術会議などは解体し、新たな組織を立ち上げるべきだと思います。


 

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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年10月28日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。

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