敗北トランプ「北朝鮮亡命説」の現実度。“12月来日”に警戒せよ

 

6)そうなると、一つの可能性として浮上するのは北朝鮮です。1%の可能性もないとは思いますが、亡命先として受け入れておいて身柄を人質にして今後の交渉カードにする、そんな陰謀を金正恩が考えて、それにトランプが騙されて乗るという可能性はゼロではありません。また、韓国サイドがその幇助をする可能性も全くのゼロとは言えないと思います。仮に、12月などのタイミングで、トランプが日本などの訪問を言い出したら警戒すべきです。

日本を訪問して晩餐会などの派手な席上でそっとトイレに立った後で「ドロン」というような、スパイ映画も真っ青のようなシナリオがないとも限りません。なにしろ、場末の園芸店で記者会見をやるような人々です。常識は通用しません。その場合には、菅総理は米国の政権移譲チーム、国防総省、国務省、CIAの中の「敵と通じていない個人」を峻別し、「まともな」相手方と協力して、亡命劇を未然に防ぐべきです。

これも本当に万万が一の話ですが、仮にそうしたドラマが進行した場合は、世界に公表すべきです。今後のトランプの影響力を削ぐということ、バイデン新政権に恩を売るということもありますが、日本のインテリジェンスの分野における実力を世界に見せるということは、国の安全保障の上で重要だからです。

それはともかく、仮に何らかのシナリオでトランプがアメリカ政治の舞台から退場した場合、例えば2022年の中間選挙、そして2024年の大統領選においては、共和党を率いるのはどんな政治家になるのでしょうか?

この問題は、共和党だけの問題ではなく、民主党の中で穏健派と左派がいつまで共存できるのかという問題も関わってくる話になります。こちらは、まだ次の時代を指し示す萌芽は見えていませんが、改めて別の機会に議論してみたいと思います。

image by: Christos S / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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