甲子園に春夏合計23回出場している野球の名門校・長崎県の海星高校がいじめ問題で揺れている。2017年4月に同校の2年生だった男子生徒(当時16)がいじめを苦に自殺したとされる件で、学校側が遺族に「突然死ということにしないか」と提案していたことがわかったと共同通信が報じている。
長崎・海星高校が生徒のいじめ自殺を「突然死」に
男子生徒の自殺に対して、第三者委員会は同級生によるいじめが主要因と認定した報告書を当時とりまとめたが、間違っている点があるとして学校側は今も受け入れていない。
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この問題を受け、私立校を監督する長崎県学事振興課も「突然死までは許せる」と追認していたといい、学校と県がいじめによる自殺の事実を隠蔽しようとしていたという疑いが持たれている。
海星高校をめぐっては、2019年5月にも校内で男子生徒が首をつって自殺する事件が起きていた。生徒の年齢や学年は明らかにされていない。
不都合な事実は認めない学校の隠蔽体質
なぜ、学校側はいじめによる自殺の事実を認めないのか。同様の事件が起きた時、いじめがあったいう事実は認めるものの、「いじめが原因で自殺した」という因果関係を認めない学校が多い。今回の海星高校のケースも同じだ。
学校側は第三者委員会の設置までは行うものの、自分たちに都合の良い報告であれば認め、不都合な記述があれば受け入れないという、悪しき風潮があるように思われる。
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自殺という事実を偽装して、突然死にしようと遺族に提案するなどもってのほか。何事もなかったように隠蔽しようとしていたことは明らかだ。
海星高校の教育理念は、「神愛・人間愛」を校訓とし、正しい価値判断のできる人間を育てることとしている。隠蔽することが、正しい価値判断と言えるのか?遺族は愛息を失った悲しみだけでなく、学校に対する怒りで震えている。
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