CIA工作員や米外交官も被害。中国が印に使用「マイクロ波攻撃」の恐怖

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中国とインドの国境で両国による紛争が発生した10月に、中国軍がインド軍に対してマイクロ波(極超短波)攻撃をしていたことが香港メディアなどで報じられ日本でも大きな話題となっています。この「マイクロ波攻撃」は、かつて米外交官やCIA秘密工作員などに対しても使われた可能性を指摘するのは、軍事アナリストの小川和久さんが主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』の執筆者の一人である静岡県立大学グローバル地域センター特任助教の西恭之さんです。西さんは2016年以降、米外交官とその家族ら複数人が不調を訴えた過去の「事件」を紹介し、マイクロ波攻撃の恐ろしさを論文内容とともに詳細に伝えています。

やはり「マイクロ波」で米外交官を攻撃か?

在キューバ米大使館や中国・広州の米総領事館の館員と家族58人以上が、2016年以後、頭痛、めまい、目のかすみ、記憶障害といった症状を訴えている。その多くは宿舎やホテルの部屋で異音を聞いたと述べており、2017年には米国で「音響攻撃(ソニック・アタック)」と報道された。ニューヨークタイムズは10月20日、米国務省がこの「ハバナ症候群」の患者数と原因を隠蔽しているという、患者の声を報じた。

『NEWSを疑え!』2017年10月5日号では、

  1. 超音波は壁を通過しないし、超低周波音は細いビームとして指向できないので、一般的な意味での音響兵器ではない、
  2. 患者が熱を感じたと言っていないので、電磁波が原因の可能性は低い、
  3. 希少感染症または耳毒性薬剤(例えば建築用の有機溶剤)の中毒の可能性のほうが高い、

と分析した。当時、被害は米国とカナダの在キューバ大使館員に限られていた。

しかし、ここにきてマイクロ波兵器が原因である疑いが強まっている。患者の脳のMRI画像診断に関する論文が公開されており、音響を体内に発生させて作用するマイクロ波兵器が試作されており、また、旧ソ連当局が米大使館にマイクロ波を照射したことのあるモスクワでも、CIA(米中央情報局)局員が被害にあったと訴えているからだ。

米国医師会雑誌(JAMA)は、在キューバ米大使館員の症状に関する論文を掲載している。2018年3月20日号の論文によると、病因は、軽度の脳外傷や脳震盪《のうしんとう》にみられるような脳ネットワーク機能不全のようだという。2019年7月23日号の論文によると、彼らの脳MRI(核磁気共鳴画像)は健康体と比べて、脳全体の白質の体積が小さく、局所的な灰白質と白質の体積にも差異があり、聴覚と空間視覚のサブネットワークの機能的接続性が低いという。

マイクロ波は、この効果を及ぼすことも、対象者に異音を認識させることもできる。脳組織がマイクロ波のエネルギーを吸収して熱膨張すると、音響衝撃波が発生し、聴覚で認識されるからだ。

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