現役探偵が暴露。いま日本中の教師たちが疲弊し切っている現状

 

文科省と財務省の駆け引き

しかし、公教育においてクラスの定員を減らすということになれば、新たにクラスを編成する必要があり、担任制を取る教育制度では必ず教員を増やさなければならなくなる。

こうなれば、当然に予算を得なければならないだろう。

過去、 財務省は少子化を理由に、子どもの数が減るのだから当然に教員の数は減ってよいので、予算を削るという方針を示した ことがある。一方で、英語教育やプログラミング、様々な教育カリキュラムが導入される上、いじめの対応などで教員を取り巻く環境はブラック化しているのだから、当然に予算を増やして教員を増員すべきだというのが文科省の立場だ。

ここにきて、少人数学級が出れば、文科省と財務省は熾烈な駆け引きを行うことになろう。

何とも情けない話ではあるが、事実としてすでにこの駆け引きは始まっており、今後も継続するのだ。

進まぬデジタル化

教員の負担を軽減させようという動きから少人数学級を論じるのであれば、進んでいないデジタル化をまずは進ませるべきだろう。

常に後手になる日本の行政では、少人数学級を文科省が財務省から勝ち取っても、導入は3年後、5年後となろう。新型コロナウイルス感染症対策のためと、今は銘打っても、その頃には、もう過去の出来事となっている。

特に 教育行政の主体は、自治体 である。よりコンパクトな行政区域の中で、どこか先んじる市区町村、都道府県が出てくれば指標となる。

そもそも、学校は未だに紙社会であり、判子社会である。学校のコピー機は今でもフル稼働で動いているに違いない。

古くから出席簿というのも紙である。紙で取ったものを、パソコンに打ち込みなおし、統計を取ったりするのであろうが、そもそもデジタル化していれば、打ち込み作業は無くなるのである。

学校だよりや通信紙をデジタルに切り替えれば、それだけ紙や印刷代が減り予算削減にもつながる。

一般企業であれば、効率重視、予算重視でみるから、いの一番に始める事が現代学校社会では実現されていないのだ。これをするだけで、大幅に業務効率が上がりコストの削減につながるだろう。

その分、生徒一人ひとりと向き合う時間に当ててくれれば、いじめなどの問題行動も減るのではないかと思うのだ。

文科省の報告によれば、担任がいじめを発見した率は、全国平均で10%程度になっている。忙殺される最中で、およそ1割のいじめを発見できているのであれば、発見率を上げることも期待できるだろう。NPO法人ユース・ガーディアンの調べでは、いじめがあったときに相談する対象は担任教員がおよそ8割と圧倒的な割合でもあった。

保護者の身からすれば、一般雑務などどうでもいいから、わが子らに目を向ける時間を増やしてほしいと思うだろう。

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