なぜ大阪の下町食堂は「大盛り定食」を激安で出し続けるのか?

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食の激戦区・大阪に、圧倒的なボリュームと激安価格でお客様のハートを掴んで離さない食堂が存在するのをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、その「下町食堂」が安価で定食を提供し続ける、心に響く理由を紹介しています。

安過ぎる定食

大阪・京橋に、知る人ぞ知る食堂があります。とにかく安くて、ボリュームがあることで有名。“不思議な”という形容がピッタリくるほど、安く提供されています。

ある日の日替わり定食を紹介すると…。「エビフライ・チキンカツ・ビーフコロッケ・玉子フライ・サラダ・ご飯・味噌汁」。これで、430円。ひとつひとつがミニサイズというわけではなく、ごく普通のサイズです。

別の日の日替わりは、「まぐろ+はまち+あじの造り・チキンカツ・サラダ・ご飯・味噌汁」。これも430円。あり得ません。どんな食材を使っているのかと疑ってしまうほど安いと思います。

他にも、「うどん・そば 120円」「カレーライス 230円」「カツ丼・天丼 330円」「エビフライ定食 380円」「トンカツ定食 380円」……など。

なぜ、ここまで安くできるのでしょうか。というより、なぜ安くしているのでしょうか。その答えは、このお店の経営理念にあります。というほど、難しいことではなく、創業した先代の想いを守り続けているだけなのです。

戦争を経験し、苦労した先代が、「物のない時代だからこそ、みんなにお腹いっぱい食べさせて、喜んでもらいたい」と、このお店を始めたのです。みんなが大変な時だから、少しでも役に立ちたいと願ったのです。「人を喜ばせる」という商売人の原点を実践した人。その想いをいまも受け継いでいるのです。

有名になったことで、わざわざ遠くからやって来る人も多くいます。しかし、その評価は低いのです。

「美味しくない」「それなり」。

確かに、安くてボリュームのある料理を作ろうとすると、食材のレベルは多少落ちるかもしれません。安い食材を選んで仕入れなければ、安く提供することはできません。このお店は、そこを割り切っています。お客さまも納得の上で利用しているのです。

失礼ながら、この地域は超下町と言っても良いところ。“リッチな食事”を望めない人は多いのです。でも、お腹いっぱい食べたい。なので、このお店が流行るのです。

これは私の考えですが、「ボリュームは美味しさ」だと思っています。味そのものはそれなりだとしても、ボリュームがあって、お腹がいっぱいになれば、「美味しかった!」と思えるのです。不況が続く中では、こんなお店が必要なのです。救世主となるのです。こうした考えに共感した人が、暖簾分けをしてもらい、いまや数店舗の支店ができています。

利益を考えず、人助けのためにやっている食堂。もっともっと増えて欲しいと思います。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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