電気自動車で負け組。トヨタは燃料電池車で勝ち組になれるのか?

 

2018年11月27日付
北京で環境フォーラムが開かれたとのニュースの中で…。「中国政府は大気汚染対策や、エンジン車に強い日米欧が握る自動車産業の主導権を奪うため、電気自動車(EV)を全面的に推進している。次に注目しているのが、水素が燃料の燃料電池車(FCV)だ。中国の産業政策「中国製造2025」では、30年までに燃料電池車を100万台に増やす目標を立てている」と。

*「水素は環境に良い」という“常識”を覆すような話が出てくる。

2019年5月14日付
「京都で12日夜まで開かれた国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の総会では、温室効果ガスの排出量と吸収量の算定に必要な改良版ガイドラインが採択された。水素や希土類金属を新たに温室効果ガスの排出源とするなど、最新の知見が盛り込まれた」という。「水素は燃料電池車での利用をはじめエネルギーとして注目されているが、製造段階が排出源とされた」ため。

2019年11月7日付
「中国・上海で5日始まった第2回中国国際輸入博覧会で、日本からは約380の企業・団体が出展し、出展した181の国・地域などでは最多となった。50万人訪れると言われるバイヤーに高齢化や水素エネルギー、グルメなど、市場のトレンドに沿った商品を売り込んでいる」水素電池車については以下の記述…。「電気自動車(EV)大国となった中国は、水素燃料電池車(FCV)にも積極的になった。トヨタ自動車はFCV「ミライ」の新型を展示した」

*水素関連は景気のいい話ばかりではない。

2020年10月8日付
「燃料電池車のガソリンスタンドにあたる「水素ステーション」について、会計検査院が、国の補助金で設置された約20カ所を調べたところ、「再生可能エネルギーだけで電力をまかなう」という補助要件が守られていなかったことが関係者への取材でわかった。ほぼ全てで一般の商用電力が使われていたという。検査院は約20億円の補助金の使い方が不適切だと環境省に指摘。同省は今年度、事業の募集を見合わせた」

●uttiiの眼

水素電池車が二酸化炭素排出の超優等生と言われるためには、水素の製造段階、あるいは供給までの各段階において、化石燃料を使うようなことがあってはならないということが分かる。太陽光や風力による発電を水素製造に利用する体制まで整備して初めて、評価されうるものだろう。

日本のクルマメーカーが水素電池車に取り組む理由の中で、「将来の中国の自動車市場」という要素が非常に大きいように思える。国を挙げてEV開発に取り組む中国だが、その先のFCVの世界に向かって早くも動き出しており、日本のメーカーはその市場で勝者となれるか否かが極めて重要だと判断しているのだろう。

日本国内では「水素ステーション」の躓きはあったが、商用車と水素供給網の世界で「標準」を作り上げようという動きが、トヨタを中心にますます顕著になっていくのだろう。

image by:josefkubes / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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