サッカー日本代表を、初めてワールドカップに導いた監督として知られる岡田武史氏。そんな岡田氏ですが、勝負哲学についても独特の考え方をお持ちのようです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では岡田氏自らが、ユニクロを率いる柳井正氏との対談を通して、準備の大切さや運の掴み方について語っています。
岡田武史さんの哲学──勝負の神様は細部に宿る
サッカーの地方リーグから昨年、J3昇格を果たしたFC今治。コロナ禍という逆境の中で、力強くチームを導いているのがオーナーの岡田武史さんです。日本代表なども務めた岡田さんの勝負哲学とはどのようなものなのか。『致知』最新号で詳しくお話しされています。
岡田 「きょうは『運命をひらく』というテーマをいただいていますが、まずリーダーが本気で情熱を持って取り組まなければ運命はひらけていかないことを僕は実感しています。
経営にもいろんな考え方がありますけど、最初はとにかく死に物狂いでやる、それしかないと思うんですよ。
FC今治の経営を始めた時も、皆で毎晩僕の家に集まって、こんな会社にしようって夢を語ったものです。あの頃が一番苦しかったけど、いま考えるととても大事なプロセスだったと実感しています。
それから柳井さんがおっしゃったように、僕もサッカー監督を務めていた頃から準備の大事さを実感してきました。選手たちには、『勝負の神様は細部に宿る』とうるさいくらいに繰り返してきたんですが、勝負を分けるのは9割方小さなことなんです。これくらいでいいだろうとか、俺一人くらい構わないだろうとか、そんな油断によって運命に見放されるんです」
柳井 「それはとても大事なところですね」
岡田 「2006年のドイツワールドカップの時、開幕戦で日本はオーストラリアに逆転負けしました。あの時、相手が放ったミドルシュートに対して、あそこからは入らないだろうと油断した選手がいたために点を許してしまいました。あそこで確実に阻止していたら歴史が変わっていたかもしれないんですよ。
僕は練習の時、グラウンドにコーンを並べてその周りを走らせることがあるんですが、選手の半分くらいは僅かに距離の短い内側を回るんですよ。内も外も大して変わらないと。そこで僕は言うんです。確かにその通りだと。しかし運というのは誰にもどこにも流れていて、それを掴むか掴み損ねるかなんだと。おまえたちがたった一回内側を回ったために、運を掴み損ねてワールドカップに行けないかもしれないんだと。コーンの外側を回るようなことが、自然ときっちりできるかどうかが明暗を分けると思うんです」
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