小学校でいろんなことを先取りしてきた子供たちは中学に入ると高校入試に向けてひたすら受験勉強フルスパートです。そんな子供たちに過酷な現実が。
深センは新しい都市なので高校が少なく、ざっくり二人に一人しか行けません。あとはみんな職業学校です。つまり高校に入れなかった時点で人生が半分決まってしまいます。工場の生産ラインや出前の配達で働く未来です。
高校に入学できた子供達はそれこそ受験オンリー。運動部もなく、恋愛禁止(恋愛が発覚すると親が学校に抗議に来ます)、全寮制が基本で朝から晩まで勉強漬け。彼らの言葉を借りると「鶏よりも早く起き、犬よりも遅くに眠る」生活です。
そして大学入試。日本のように共通試験の後に国公立に二次試験があったり、私立は共通試験を受けなくてもよかったりとかはありません。国公私立問わず「共通試験のみの一発勝負」です。親は試験場まで送り、弁当を届け、終了まで会場のそばで気を揉んでいます。幼稚園から続けてきた投資の集大成ですから当然かもしれません。試験結果が出てくると自分が行けそうな大学・学部を複数申請し、引っ掛かったところに行くので、私も経験しましたがいわゆる「浪人生」というのはほとんど出ません。こうして大学に入ってやっと解放されるのです。
大学を出て就職、結婚した彼らは親達と同じように子供に愛情と投資を注ぎ込むのをためらわないでしょう。「この子にはもっと楽をさせてやりたい」ときっと思うはずです。中国の少子化は簡単には解決しそうにありません。
著者/Mochi(「『華南の風』中国・深セン」連載)
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