鶏より早く起き、犬より遅く眠る。中国深センの子供の過酷な現実

shutterstock_525764818
 

一人っ子政策が撤廃され5年近くが経つ中国ですが、少子化の流れが収まる気配はないようです。今回の無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』では中国・深セン在住の日本人著者Mochiさんが、現地の子育ての実情を詳細に紹介するとともに、そのサイクルが続く限り中国の少子化は簡単には解決しそうにないと綴っています。

『華南の風』中国・深セン【6】深センの子供達

WeChatで見たニュースによると中国は出生率が下がりっ放しで、このままでは韓国や日本よりも深刻な高齢化社会が早い段階で訪れるそうです。ある政府関係者が「早急に3人目までを認める政策を実施するべきだ」と主張してました。過去に社会科で習った「一人っ子政策」が数年前に「二人まで認める」に変わりました。それでも出生率は上がりません。

それもそのはず。どの先進国も通ってきた道ですが、生活水準が上がってくると教育にかけるお金も上がり、複数の子供に平凡な教育を施すより、一人に最高の環境を与えたいと思うからです。「この子には自分みたいな苦労はさせたくない。豊かに生きて欲しい」という親心は世界共通ですね。そしていい企業に入るためのいい大学、いい大学に入るためのいい高校と下がっていき、幼稚園児から投資が始まります。

基本は3つ。運動、芸術、英語または数学です。小学校に上がるとそこにとんでもない量の宿題が毎日加わるため、土日は習い事で埋め尽くされます。お客さんのWeChatにはよく子供の宿題ネタが出てきます。「この問題わかる?」とか「もう22時なのにまだ国語のテキストを暗唱できない…」という感じです。

私は宿題について親から何も言われたことがないので、うちのスタッフに「宿題は子供の責任でしょ?どうして親が絡むのか」と聞くと「宿題を終えた証拠を写真に撮ってWeChatで担任に送らなければならない」ので、結局手伝うことになるのだそうです。未提出者はクラスの保護者チャットに名前を晒されるので、メンツを重んじる中華社会では一大事です。

うちのスタッフによると小学校のランキングがあり、いい小学校に入るためにその学区に家を買ったりもするそうです。有名な小学校の学区内のアパートは「学区房」と呼ばれ、どんなに古くて狭いアパートでも借り手がつきます。子供の入学に合わせてそんなボロアパートに一家で引っ越すのはよくあることです。

そんな親の犠牲を受けて日々勉強に励む(励まされる)子供達のプレッシャーは相当なものでしょう。さらに共産主義という体制からは想像もつかないことですが、学校によって教育が違います。スタッフのA君の子供は今年小1になったのですが、学校の方針で「小学校卒業までに中学3年までの英語を終える」そうで漢字も書けないのに英語がすごいスピードで進んでいるそうで、Bさんは「新しい理科の先生は中学の内容を先取りして教える方針なのだが、そこで使われる数式が小学校の算数の授業で習っていないので自分が教えてます(泣)」などなど。

print
いま読まれてます

  • 鶏より早く起き、犬より遅く眠る。中国深センの子供の過酷な現実
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け