天国か地獄か。希望的観測が招く菅政権「将棋倒し」Xデー

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日本でも世界でも感染拡大の勢いが止まらないまま、新型コロナウイルスに大きく翻弄された1年が終わりを迎えようとしています。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では、ジャーナリストの高野孟さんが、2021年の日本と世界を占います。高野さんは感染状況を踏まえ、完全な形での東京五輪の開催は不可能と、商売優先でマスコミが口にしないことをまず指摘。菅政権の行く末は、GoTo事業の再開可否で最初の分れ道を迎え、安倍前首相との対立も加わって「将棋倒し」が起こる可能性に言及します。国際情勢については、バイデン新政権が目指すべき多国間主義のあり方について論じています。

2021年の日本と世界――コロナ禍の収まり具合が決める天国と地獄

2021年の世界と日本がどうなるかは、専ら、コロナ禍がいつどのように収まるのかそれとも収まらないのかにかかっていて、それがどうなるか皆目見当がつかないので、来る年を占うのはむずかしい。

止めようもない感染拡大

12月27日現在の世界の感染状況を、米ジョン・ホプキンス大学の集計に基づいてNHKのコロナ特設サイトがまとめているところによれば、100万人以上の感染者を出している最悪状態の国は米国(累計感染者1898万263人、死者数33万1909人)を筆頭に、ペルー(同100万5546人、3万7368人)までの17カ国で、そのうち年末・年始に向かって日々の感染者数発表がどんどん増え続けているのは米国、ブラジル、ロシア、イギリス、ドイツ、コロンビアなど。

他は横這いか下降傾向にあるものの、フランス、イタリア、スペインなどは乱高下を繰り返しており、これまでは対策の優等生とされていたドイツが10月以降、急激な感染拡大に見舞われるなど、一向に収まる気配を見せていない(図1)。

日本は27日現在、感染者22万1247人、死者3256人で、感染者の絶対数による世界ランキングでは41位あたりにあるが、年末・年始に向けて毎日のように感染者が「過去最高」を更新し続けている。つまりは増大を抑えることができておらず、米英露などと同じ失敗国家グループに属すると判定せざるをえない(図2)。これが止まる見込みがあるのか。

同じくNHK特設サイトでは11月に、AIでコロナに関する英語論文約20万本を全文読み込んで特に影響力が大きい世界トップクラスの専門家14人を選出し「収束は一体いつになるか」(図3)を問うた。すると、いずれも現在開発が進んでいるワクチンが有効であったという共通前提で、21年8~9月と答えたのが4人、21年内もしくは末までが5人、22年の春~夏が2人、22年内が1人、23年以降が1人、収束しないが1人だった。これ以降に、イギリスや南アフリカで新しい変異種が出現し日本にも波及し始めているので、今の時点で聞けば、さらに遠くまで収束予想が先送りされるに違いない。

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