若者を「無制限プラン」へ誘導させたいドコモソフバンの静かな戦略

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NTTドコモが驚きの料金プランを発表し、ソフトバンクも後に続けと新プランを発表しました。現在では、若者でも大手キャリアが掲げた料金プランの「20GB」の容量で十分足りるのかもしれませんが、あと数年で「無制限プラン」に移行せざるをえないと指摘するのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。石川さんは、自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、エリクソンの調査データなどを元に近い将来のスマホユーザーは「無制限プラン」への移行は必然だとして、その誘導を密かに行おうとする大手キャリアの動きを読み解いています。

ソフトバンクが新ブランド「SoftBank on LINE」を発表——-月間20GBはすぐに足りなくなり「無制限」に誘導か

12月22日、ソフトバンクが新ブランド「SoftBank on LINE(仮称)」を発表した。月間20GBで月額2980円。NTTドコモ「ahamo」の後追いだ。KDDIも2021年1月には同等のプランもしくはブランドを発表してくるものと思われる。

ソフトバンクの発表を受けて、12月25日に行われた定例会見で、武田良太総務大臣は「政府として公正な競争環境の整備を図る中、携帯電話事業者各社からは、主に大容量の領域で、国際的に見ても遜色のない水準の料金プランを発表する動きが出ております。 新しい料金プランは、来年の2月以降、順次提供が開始される予定と承知いたしております」と特に激昂することなく、素直に受け入れるようだ。

各社とも20GBプランを揃えてくるのは、ユーザーのニーズというより、単に総務省が世界6カ国を比較する「電気通信サービスに係る内外価格差調査」で2GB、5GB、20GBが調査対象となっているだけにすぎない。20GBプランの比較を抜き出し「日本は高いから、国際的に遜色のないプランを求む」という総務省からの圧力に各キャリアが応えている結果なのだ。

確かに2020年の段階では20GBは大容量かもしれない。ソフトバンクが「ギガモンスター」と称して20GBプランを提供し始めたのは2016年9月のことだ。当時は「20GBなんて使いきれない」と思っていたが、今ではなんだかんだで結構なデータ量を使ってしまっている。

YouTubeでソフトバンクの会見を振り返る番組をライブ配信している際には「大学のオンライン講義やビデオ通話をするようになって20GBなんて足りなくなった」というコメントを数多くいただいた。

 NTTドコモとソフトバンクは「若者をターゲットにしたプラン」という位置付けにしているようだが、そもそも若者だったら20GBなんて、すぐに足りなくなるのではないか。

エリクソンの調査データによると、2020年、北東アジアにおけるスマートフォン1台あたりのモバイルデータトラフィックは11.1GBとなっている。これが2021年には15GB、22年には20GBに迫る勢いだ。

つまり、20GBで事足りるのはこの1~2年であり、すぐに20GBでは足りず、無制限プランへの切り替えを余儀なくされるということだ。

今回、NTTドコモもソフトバンクも無制限プランの値下げを実施している。当面は収益面で大きなマイナスを余儀なくされそうだが、数年単位で見れば、無制限プランを選択するユーザーが増えて、結局、収益は回復基調になるのではないか。

NTTドコモがギガライト、ソフトバンクがミニフィットプランの値下げに手をつけず、小容量の料金プラン自体をあまり表に出さなくなるのも、やんわりと無制限プランへユーザーを誘おうという狙いがあるのかも知れない。

image by: Koshiro K / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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