ここにも竹中平蔵氏の影。菅首相のぐだぐだコロナ対策「諸悪の根源」

 

コロナ対策のお粗末を分科会のせいにしたがるのは毎度のことだが、なぜ菅首相の打つ手がいつも遅れるのか。その背後には、「医療の逼迫」に関するとんだ考え違いがある。

昨年末に菅首相に会ったばかりだという最高指南役、竹中平蔵氏(パソナグループ会長)が、1月7日のTBS「報道1930」で、こう語っている。東京都のコロナ病床が埋まり、自宅待機している患者数が膨れ上がっている危機的状況を感染症の専門家らが訴えたのを受けての発言。

「私は今までの議論に大変違和感があります。医療関係者が大変なのは理解するが、日本で感染症に準備されているベッドが2万7,000人分といわれているが、日本全体でみると100万をこえるベッドがある。そんな国で3,800人の重症者に対応できないというのはおかしい。飲食店に対してだけでなく、医療の側にも強い権限を行使できるよう特措法の改正をする議論をしてほしい」

確かに病床数は多い。しかし肝心なのは、感染症の治療にあたれる医師や看護師など医療スタッフがどれだけいるかだ。これは日本の医療界の構造的問題である。今後は長期的視点で感染症スタッフを増強していかねばならないだろう。

コロナは目の前の脅威だ。特措法を改正して国や自治体に、感染症病床を増やす権限を与えても、対応できる医療人材がいなければどうすることもできない。

短兵急な議論の提起は、話をいたずらに混乱させるだけである。今は、現状の医療体制のなかで、どうやって新型コロナを収束させていくか、その道筋をつけることが大切なのだ。竹中氏のようなブレーンが幅を利かしているために、菅首相の腹が据わらない。

腹が据わらないから、緊急事態宣言の中身が中途半端になる。短期間で最大の効果をあげるには、補償すべきところには補償して、昨年4月なみのステイホームにもっていかねばならないのに、午後8時までの時短営業のメッセージが、逆に昼間の外出を促している。

菅首相は1か月で感染拡大を止めると大見得を切り、西村経済再生大臣は東京都なら新規感染者が1日当たり500人を下回るのが宣言解除の目安だと言う。

変異種の流入が感染急拡大の原因かもしれないというのに、よくそんな甘い算段ができるものだ。仮に菅首相の思い通りになるとしても、その後をどうするつもりなのか、さっぱりわからない。

東京都で初めて新規感染者が500人を超えたのが11月19日。それからわずか7週間後の1月7日には2,447人に達した。宣言を解除して、人の動きが活発化すれば、再度、感染拡大が始まるのは想像に難くない。まだまだ寒い季節は続くのだ。

いったい、どうすればいいのか。中国や台湾やニュージーランドのようにはいかなくとも、なにかもっと根本的な対策を打てないものだろうか。そう考えると、まだまだ検査が足りていない現実に突き当たる。

無症状者のなかに、感染させる力の強いスプレッダーがいる。エピセンター(感染集積地)では、日々、新たな無症状のスプレッダーが生み出され、対策の網をすり抜けて、ウイルスがはびこっている。

この連鎖を断たない限り、早期の収束は望めない。ワクチンによって集団免疫ができるとしても、ずっと先のことだ。

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